不二一景 INTERCONNECTED VIEW

Statement

不二一景 — INTERCONNECTED VIEW
兼子真一

私の作品は、「関係」をテーマにしています。世界は、あらゆるものが相互に作用しながら成り立っていますが、そのつながりは目に見えるものではありません。私はその見えないつながりを、春画に描かれた手足のモチーフを使って可視化しています。交わる手足は、複雑に絡み合う関係の象徴であり、私にとって重要な表現手段です。

「不二一景」というタイトルには、すべてのものが分け隔てなくつながり合い、一つの風景として現れてくるイメージを込めました。世界のあらゆる存在や現象は、それぞれが独立しているように見えながら、実は網の目のように関係し合っている——そのことを、ひとつの景色として捉え直そうと試みています。

私たちは日々の経験や記憶、感情、思い込みといった“フィルター”を通して、世界を捉え、意味づけています。その中で生まれる「想像された現実」が、私たちの見る世界のかたちを決めているとも言えます。それぞれの人が思い描く現実が集まり、網となって世界を形づくっていることに、私は驚きと関心を抱いています。

本展では、私自身のフィルターを通して、曖昧でとらえがたい世界の実像と、その中に確かに存在する「関係」のかたちを探ります。