と

兼子真一個展「と」

私の作品は、目に見えない「関係」に焦点を当てています。浮世絵春画の手足からインスピレーションを得て、「関係」を視覚化するために手足を引用しています。手足の結びつきともつれあいは、この世界の複雑な「関係」のネットワークやパターンを象徴し、私は独自の世界の構造を模索しています。

展示のタイトル「と」は、「関係」を表す言葉として頭に浮かんだ一文字です。例えば、「あなた」と「わたし」の間にふと居座る「と」。私が常に見ているのは、個々の存在ではなく、両者を結ぶ見えない「と」＝関係です。この交わりと関わりは、人同士だけでなく世界のありとあらゆる要素や事柄に当てはまります。

作品は、「と＝関係」によって結ばれ変化し続ける現状をイメージして表現しています。「と」に繋げられないものはなく、「と」がなければすべてのものもない。ぜひ、この展示を通じて、日常のありとあらゆるものの間に潜む「関係」について考えてみてください。

本展では、春画の手足にインスパイアされた過去から現在に至る作品と、次回作に向けた習作やドローイングを展示します。