Research

昆虫特有の生理機能の解明

昆虫特有の分子を検出する技術開発

狙った害虫だけに効く農薬化合物の獲得

生物材料

私たちは、害虫防除に関わる昆虫を研究対象としています。現在は、主にアブラムシを用いて研究をしていますが、これまでに取り扱った研究対象は、トビイロウンカや昆虫病原性線虫Steinernema、ネムリユスリカ、コクヌストモドキなどがあります。昆虫培養細胞は2006年から扱っています。他にも、外来研究生の研究対象が、エキノコックスやバナメイエビであったこともあり、比較的になんでもありです。研究に用いる生物材料について種を問いませんが,重要なこととして、研究をする上で、「なぜ、その生物を用いるのか?課題解決にベストな選択なのか?」などをよく考えて選択します。また、ほ乳類培養細胞やアフリカツメガエル卵母細胞、大腸菌など生命科学で用いられるツールを用いて遺伝子の機能を解析します。

研究テーマ:トレハロース代謝・輸送を作用点とする標的評価

昆虫の体内にみられる特有のトランスポーター(部屋のドアのようなもの)を対象とした研究もしています。このトランスポーターのはたらきがある場合とない場合を比較したり、どんな分子が輸送されるのかを調べます。昆虫に対してクリティカルであれば、新しい農薬の作用点となります。トランスポーターの解析から、化合物(薬のタネ)を効率よく探索する手法の研究開発も行っています。現在、着目している生体内の分子は、トレハロースという糖です。

トレハロースは、グルコース(ブドウ糖)が2つ結合した糖で、保水性が高いことが知られています。この性質からトレハロースは化粧水や和菓子に添加されています。多くの昆虫では、トレハロースを血糖としています。血糖は、生体内の恒常性の維持、とくに各細胞や組織で消費される炭素源としての役割があります。この供給がストップすると、生体にとって必要なエネルギーを確保することが難しくなり、生命の危機となります。このトレハロースの合成や分解、輸送だけをストップできるような化合物があれば、昆虫に効く薬剤候補となります。

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