2020年1月、世の中がコロナの影を感じ始めた頃、松本を中心に活躍する料理人たちが、スペインのサンセバスチャンを美食の街に育てたきっかけとなるルイス・イリサール料理学校で、蕎麦打ちの講師として世界の扉を開いたことが、全ての始まりでした。
サンセバスチャンから帰国したシェフが、地元で待つ仲間の料理人にスペインでの体験を共有し、「松本平ガストロノミーラボ構想」として、コロナ禍中でもシェフたちみんなで食を盛り上げていこう!という活動が産声を上げました。後に正式名称が決まり、2020年5月、総勢18名で「信州嵐」は始動しました。
複数のシェフが、おやきづくりや1日限定レストランを通じて、お互いの知識や技を交換し、新たなメニューを世の中に生み出してきました。
コロナも少し落ち着き、各飲食店にも少し活気が戻ってきてからは、2~3人のシェフによるレストラン企画を実施してきました。これにより、シェフ同士がアイデアを出し合った新しいレシピが考案され、食材の扱い方を通じた技術交流が進んでいます。
他にも、各シェフや生産者の方が自分自身のスキル、例えば蕎麦打ちであったり、苺の育て方であったり、こだわりを共有する「研鑽会」も始めました。
2023年には、JTBさんとの共同企画としてのワイナリーランチも予定しています。独自に限定レストランを開催するだけでなく、企業様や、他の活動とも積極的にコラボし、「美味しい松本平」を盛り上げる企画をどんどんと生み出して参ります。
信州嵐に参加する生産者・農家や、シェフたちに共通しているのは、地元・信州の豊かな食材を大切にしているということです。
農家の数も県内随一を誇る松本平の中で、特にこだわりのある食材の作り手と、その食材の良さを最大限に引き出せる料理人の集まりだからこそ、季節ごとに、ここでしか食べることのできない、最高の一皿を生み出せるのです。
食材は鮮度が命です。地産地消という言葉は今は広く知られているかと思いますが、ここ松本平の豊かな食材は、やはりこの土地で食べてこそその真価を発揮するのです。
さらに、サンセバスチャンに習い、メンバー同士の学び合いも大切にしています。普通であれば交わることのないシェフたちが惜しみなくその経験や技を共有し合い、高め合うことでさらに彼らの作る料理のクオリティを高めていきます。
「美味しい料理を作り、マドリードの人間がほんとうに美味しさを味わいたいならバスクまで来なければならないよう、この地の料理レベルを上げるため、こんな勉強会をしている。
マドリードで店を開ければ楽にうまくいくが、この地まで食べに来なければならな いよう、みんなで肩を組んでレベルアップに励んでいるんだ。」
~ルイス・イリサール~
信州嵐は、このスローガンを胸に、東京や京都、大阪などほかの都市部では食べられない信州・松本平ならではの美食を追及し、メンバー一同肩を組んでレベルアップに励んでいます。
セロリ農家 大槻あっちゃん