ちょこっとラーメンオタクな話 01 2020/05/06
支那ソバブームの潮流で言えば、先日お亡くなりになった巨匠「支那そば屋」の佐野氏が有名ですが、ラーメン界で通な支那ソバは浜田山にある「タンタン亭」なのです。1980年代に一大ブームを巻き起こした石原マスターが創り上げた名店です。その「タンタン亭」の名物店長だった私の師匠「数家氏」が出した店が修業先「かづや」なのです。
醤油の淡麗系スープに肉厚のワンタンが集うスタイルこそ「タンタン亭」の系譜である証なのです。40年近くにも及ぶ歴史と情熱がこのワンタンに詰まっているのです。
ちょこっとラーメンオタクな話 02 2020/05/16
中国四千年の歴史には様々な発酵調味料や香辛料がありますが、中華料理の調味料の配合ほどバランスが良いものはありません。特に担々麺はとんでもない発明であり革命なのです。担々麺の由来は文字通り「担ぐ(かつぐ)」とあるように、街中を江戸時代のサンマ売りのように道具と材料を担ぎ、練り歩き、麺をその場で茹で、香辛料やラー油を混ぜ、混ぜソバのように売っていたのが最初。
食品において、食材が傷むのを天然で防ぐものは食塩や醤油の塩分、唐辛子などのカプサイシンが代表されますが、その全てが入っていて長持ち。なおかつ味は濃厚で辛味が食欲を増進!!!これは食文化の研究と進化の賜物ですね。よって「担々麺」は元来汁無し。現在の濃厚スープの担々麺は正確には「汁有り担々麺」が正しい言い方のようです。
ちょこっとラーメンオタクな話 03 2021/01/24
ラーメンの麺を一刻も早く自家製麺にしたいと願う今日この頃ですが、現在は仕様を伝え、製麺工場に発注をし、皆さんにお届けしています。
修行時代に支那ソバ「かづや」さんで製麺もやらせて頂いていました。
製麺とは奥が深く、小麦のグルテンの活発化との闘いなのです。
グルテンの活発化をどの程度で止めるか?これは経験による技能速度と、季節ごとの気温と湿度のデータの蓄積でしか安定供給ができない奥深い世界なんです。
企業秘密なので詳しくは書けませんが、調理に使う小麦の温度も厳しく設定されているのです。
理由としては、小麦と水や各種調味料を混ぜ合わせ、こねる時に「摩擦熱」によって温度が上がりすぎてしまい、結果グルテンが過剰に活発化しコシがですぎてしまうわけです。
無論、混ぜ合わせに使う水の温度もかなり冷たい温度なのです。ただ、この材料から起因するコシだけでは、ラーメン特有のコシや喉ごしは生まれないのです。
ここからが核心です。混ぜ合わせたゴロゴロのタネたちを、「バラ掛け」といって
少しずつローラーに入れ、シート状にし、バームクーヘンのようなロール状の「麺帯(めんたい)」にします。
その麺帯が完成したら、別のローラーを経由し同じシート内で2枚重なるよう流し、また同じ麺帯を作る。その作業を店によって違いますが数回くりかえし何層にも重ねます。
刀を真っ赤な溶けた鉄から叩くとき、何回も折り曲げ重ね合わせ強度を増していく技法が、なんとラーメンの麺づくりにも生かされているのです。
日本のソウルフードと名がつく国民食「ラーメン」には、手間のかかった職人の「大和魂」が鎮座しているのです。