第四十三號

特集「龍」 2018年10月


◇作品解説


山口はこの年(2018年)の5月2日に90歳でこの世を去りました。死後に発刊された本號表紙のドローイングは、既存の作品群の中から編集部によって選定されたものだと推察されます。テーマである「龍」の顔のようにも見えますが、注目したいのはそこに複数描かれている「眼」です。実験工房時代、山口は『試験飛行家W.S.氏の眼の冒険』(1953)という映像コンテンツ(オートスライド作品)を制作しています。本號の表紙に描かれている眼は、その作品に度々登場する眼のオブジェを想い起こさせさせます。『ヴィトリーヌ』以来、様々な作品を通して「視ること」の実験を重ねてきた彼の最後を象徴する、たいへん印象的な作品です。