第三十五號

特集「民藝」 2014年8月


◇作品解説


山口は1960年代前半に「布張り彫刻」と呼ばれる一連の造形作品を制作しています。鉄筋で形作ったフレームに古い麻袋などを被せて制作したもので、『ハート』の他にも『ペン』や『マッシュルーム』など、身近な物品をテーマとする作品を多く制作しています。重量感のない壁掛け型の作品が多いのが特徴ですが、そこには作品を現実の展示空間と一体化させ、環境化しようとする山口の意図が反映されています。生活に根差した美を希求する「民藝」運動の中にも、同様の方向性を見出すことができます。