三十一

特集「島」 2021年10月


表紙について


 今號の特集は「島」。イソラマニアではないが、島に住む一人の人間心理を描いてみました。双眼鏡に映る小さな島と、船が来るのを待ち望む人間の心です。 島狂いのヒトのこと



◇作品解説


病後、山口の生活は一変し、自由が制限されることも多くなりました。多摩丘陵に佇む介護施設の自室にある小さな窓とテレビが、外界の気配を知る唯一の接点となっていました。そうした自身の境遇を、船が来るのを待ち望む小さな島の住人に重ね合わせたのかもしれません。しかし双眼鏡というメディアを介し、あくまでも客観的な立場で傍観しているという視点には、そうした自身の境遇を達観している姿勢が伺えます。