第二十一號

特集「光」 2007年9月


表紙の言葉


 一九六一年「現代のビジョン展」第三回 スペースと形態=山口勝弘の場合サトウ画廊〔中原佑介企画〕の作品です。アメリカでは、当時のニューヨークは西洋に向けての新しい時代の創造への窓口でした。これに対してサンフランシスコ・シアトルは日本を始め東洋への現代美術の窓口でした。私は、マーク・トビー、モーリス・グレイブス、アドライン・ハートなどの作品が好きでした。特にマーク・トビーの作品の筆書きの繊細な表現に影響を受けていました。彼は、最初は針金のオブジェに「光」をあてて作品を構成しました。『紫明』二十一号の特集は《光》なので、私の作品の中で、これが本紙に相応しいと選びました。



◇作品解説


1960年代、山口は様々な素材を用いた立体造形作品の制作に取り組みます。第三十五號の「布張り彫刻」もそのひとつですが、その最初の一歩は、金属のワイヤーを素材に用いて制作された「金網彫刻」でした。「彫刻」とは言うものの、天井から吊るせるほどの「軽さ」が特徴で、金属の網目を透過する光が展示空間に軽やかなシルエットを描き出します。