第九號

特集「庭園」 2001年10月


表紙の言葉


空を飛ぶ太湖石から風景を眺める。

このままズームバックすると、

宇宙庭園に浮かぶ

遥かな地球が見えるだろう。

 池魚思故淵(陶淵明)



◇作品解説


本號のテーマは「庭園」です。山口の作品および展覧会のタイトルには、『未来庭園』(1984)、『銀河庭園』(1986)など、庭園を冠したものが多くあります。自然空間の中に人工的に作り込まれた風景を構築しシームレスな関係性を作り出す庭園の美学は、周囲の状況や環境を巧みに取り込みながら進化してきた山口作品にも通底する価値観です。広大な宇宙空間に浮かぶ青々とした地球を想像し、あたかもそれが庭園のアクセントであるかのように捉える視点は極めて客観的・俯瞰的なものですが、同時に母なる惑星・地球への深い敬愛の情も窺えます。