司法書士が司法書士のために書いた電子署名の本のパイオニアです。電子署名の仕組みから、商業登記電子証明書の取得~署名検証まで、実際の画面と分かりやすい説明が盛りだくさんです。
電子署名の本自体が少なく、存在だけでも貴重な中、実務の具体的なところまで解説が載っています。この本さえあれば、初めての商業登記電子証明書の取得依頼も、自信をもって「おまかせください」と受任できます(できました)。
とにかく「初めて電子署名を使います」となった時、すぐ手に取れるよう各事務所に最低一冊は置いておくべき本です!一押し!
副題「サイバービジネスの核心」をみて、紙とアナログの司法書士業界とは無関係に見えるかもしれません。しかし、司法書士の大事な業務に「本人確認」があります。みなさん、決済の場で何気なく「写真付きの身分証」を要求していませんか?本人確認とは、そもそもなんでしょうか?
決済立会で忙しくても、第2章だけでも目を通してほしいです。犯収法がその一点の確認で許しているので、堅実な本人確認だと考えがちな「運転免許証の券面確認」は実はかなり弱い…というところなど、まさに、本人確認の意味を考えさせられます。
時間が確保できたら、間を飛ばして第6~8章も読んでみて下さい。特に第8章は「有効な同意」「行為能力」を改めて考える良いきっかけになると思います。
ロボット三原則(いわゆる、ロボットは人を傷つけてはいけないという規律)を逸脱したロボットには、裁判を受ける権利、責任があるのか?を問うSFアクションです。「ロボット三原則」を逸脱し、人を殺めたロボットが、自分に自発的な意思がないことを証明すべく、逃亡するところから物語が始まります。
本作は、全体的にはロボットアクション・逃亡劇の描写が多く、ライトノベルに近い印象も受けます。ですが、本作で度々出るフレーズに「見えない部分が表面を作る」というものがあり、物語の根底には常に「ロボットと責任」があります。
また、本筋から逸れますが、サブキャラクターを通し「権利がなければ、失敗の責任も負えない」という副題も見え隠れします。(個人的には、閑話休題的なこちらのエピソードが一番印象深いです。)
責任を負わずに済むならいいじゃないか、と思われるかもしれません。ですが、自分の失敗と認識せざるを得ないのに、外的な圧力で、失敗にまつわる記録すべてを消されたら…。責任を負えないというのは償う機会の喪失でもあり、区切りが付かず延々と自分を責める可能性もあるのではないでしょうか。
AIが身近になり、しかし何の指針も確立されてない時代に現れるべくして現れた物語です。そして、ラストの「愛に満ちたとある侵害」により物語が終結します。これはロボットの話というより、相手の責任領域に、誰が、どこまで、侵入すべきか?という問いかけかもしれません。
この本では、次のような実験結果が紹介されている。
動物は、選択肢のある・なしを選べるなら、「選択肢がある」方を選ぶ。その本質は、自分の選択が結論を左右することではなく、「選択してると感じること」のようだ。なぜなら「どの選択肢を選んでも結果は同じ」と学習した時さえ、動物は「選択肢がある」ものを選ぶ性質があるから。
つまり動物は、結果が一つしかなくとも、選ぶことそのものに惹かれるらしい。しかし、「選択肢が多すぎたり複雑すぎたりすると、選択したくなくなる。」…
私はこの実験結果の紹介を読み、借金減額シミュレーターという広告を思い出した。どの選択肢を選んでも、結論は「あなたの借金が減額される可能性がある」が表示され、相談・依頼を誘導するという広告で、問題になった。
広告を見た人が何か選択したところで結論を左右していないのだが、選択してると感じさせ、相談・依頼へと繋げる。心理学に叶った広告なのではないだろうか。
そうであれば、司法書士会や連合会が「このような広告は違反です」という規則を作ったところで、結局のところ「心理学的にみて、市民が、規則を遵守した事務所を選ぶ確率は低い」のではないか。今は、スマートフォンを通し、行政区画を超えて手軽に広告が届く。「なぜ人は、この広告に誘導されるのか?」を心理学や行動経済学の観点から分析したり、司法書士会など公的団体の紹介窓口への誘導ルートを研究することも、今の時代に必要ではないだろうか。