司法書士が司法書士のために書いた電子署名の本のパイオニアです。電子署名の仕組みから、商業登記電子証明書の取得~署名検証まで、実際の画面と分かりやすい説明が盛りだくさんです。
電子署名の本自体が少なく、存在だけでも貴重な中、実務の具体的なところまで解説が載っています。この本さえあれば、初めての商業登記電子証明書の取得依頼も、自信をもって「おまかせください」と受任できます(できました)。
とにかく「初めて電子署名を使います」となった時、すぐ手に取れるよう各事務所に最低一冊は置いておくべき本です!一押し!
副題「サイバービジネスの核心」をみて、紙とアナログの司法書士業界とは無関係に見えるかもしれません。しかし、司法書士の大事な業務に「本人確認」があります。みなさん、決済の場で何気なく「写真付きの身分証」を要求していませんか?本人確認とは、そもそもなんでしょうか?
決済立会で忙しくても、第2章だけでも目を通してほしい。犯収法がその一点の確認で許しているので、堅実な本人確認だと考えがちな「運転免許証の券面確認」は実はかなり弱い…というところなど、まさに、意味が分かると怖い話です。
時間が確保できたら、間を飛ばして第6~8章も読んでみて下さい。特に第8章は「有効な同意」「行為能力」を改めて考える良いきっかけになると思います。
直感を大事に突き進む昔ながらの刑事ワシントン・ポーと、天才分析官ティリー・ブラッドショーが、連続殺人の謎に挑む…というストーリー。明晰な頭脳と頑なまでに論理的思考を持つ女性博士と、直感タイプの男性刑事というのは、テレビドラマ「BONES」を思い起こさせます。目まぐるしく移る場面展開も、ドラマ好きにおすすめ。
最初は凸凹コンビだったのが、次第に二人の息が合ってくる変化も見どころです。特に、2作目では、窮地に陥ったポーが助けを求めると、ティリーがポーの予想に反してすぐ駆け付ける…というシーンがあります。あまりの早さに驚くポーに「あたしがあのメッセージを送ったら、ポーはすぐに出発しないの?」と言うティリー。
ミステリー小説ですが、身近な人に助けを求めることが苦手な人におすすめします。
家族の問題を抱える主人公のジョーと、余命わずかなため仮釈放され最期を過ごすカール。二人が出会い、ジョーは次第にカールの無実を信じて真実を…と書くと、よくある小説に聞こえます。
しかし読むうちに、過去の事件はあくまでサイドストーリーに過ぎないと思うのです。第一印象は大して良くなかったのに、進めるうちに自然と感情移入して応援してしまう。ミステリー小説ではなく、ミステリーを用いた再生の物語です。
終盤の「もし死んで向こう側に天国があったなら、それはそれで結構なことじゃないか。だがもし、天国にいるつもりでこの人生を生きず、死後に何もなかったら…」というカールの台詞は、心にじんわりと沁みます。
フィン・ベルの「死んだレモン」が好きな方に。
同じ1日が繰り返し訪れる「反復落とし穴」(タイムループ)の体質を持つ主人公が、祖父の死を防ぐために手を尽くす…というストーリー。これだけ書くとありがちなループもの。でもそうじゃないんです。1回目の時間軸では誰も死んでおらず、2回目の時間軸で主人公が行動を変えたために死んでしまう…という掴みが見事で、序盤から物語に引き込まれました。
そしてフーダニット(誰が犯人か?)とホワイダニット(なぜ行ったか?)という2つの謎を巧みに用いながら、謎解きに最も重要なポイントから読者の目を反らします。素晴らしく憎らしいミステリー小説です。清々しいくらい気持ちよく騙されました。
猟区管理官ジョー・ピケットシリーズとして今も刊行される作品の第一作目です。いきなり主人公ジョーの職務上の失態シーンから始まるので(しかもなかなか恥ずかしいエピソード)
「この人が事件解決するの?狂言回しキャラかな?」と思ってしまいました。
そんなジョーは基本的に単独で事件に向き合うのですが、彼は孤立した一匹狼的な人間ではありません。素敵な家族も、彼を気に掛ける仲間もいます。しかし、自然豊かな地域はともすると過疎地域でもあり、人手不足と不器用さゆえに孤軍奮闘せざるを得ないようです。
そんな自然豊かな舞台は経済的には豊かでなく、時折、清濁併せ呑むような決断を要求されます。そんな街で不器用ながらも法と自然を守ろうとするジョーは、悩める等身大の主人公であり、全く違う系統の作品ではあるものの、パーマンのミツオを思い出させます。冒険・探検ものでありながら、あたたかい作品です。
ロボット三原則(いわゆる、ロボットは人を傷つけてはいけないという規律)を逸脱したロボットには、裁判を受ける権利、責任があるのか?を問うSFアクションです。「ロボット三原則」を逸脱し、人を殺めたロボットが、自分に自発的な意思がないことを証明すべく、逃亡するところから物語が始まります。
本作は、全体的にはロボットアクション・逃亡劇の描写が多く、ライトノベルに近い印象も受けます。ですが、本作で度々出るフレーズに「見えない部分が表面を作る」というものがあり、物語の根底には常に「ロボットと責任」があります。
また、本筋から逸れますが、サブキャラクターを通し「権利がなければ、失敗の責任も負えない」という副題も見え隠れします。(個人的には、閑話休題的なこちらのエピソードが一番印象深いです。)
責任を負わずに済むならいいじゃないか、と思われるかもしれません。ですが、自分の失敗と認識せざるを得ないのに、外的な圧力で、失敗にまつわる記録すべてを消されたら…。責任を負えないというのは償う機会の喪失でもあり、区切りが付かず延々と自分を責める可能性もあるのではないでしょうか。
AIが身近になり、しかし何の指針も確立されてない時代に現れるべくして現れた物語です。そして、ラストの「愛に満ちたとある侵害」により物語が終結します。これはロボットの話というより、相手の責任領域に、誰が、どこまで、侵入すべきか?という問いかけかもしれません。