私たちは「具体的な社会科授業をもとに考える」をコンセプトに2015年から活動してきました。
実際の授業をもとに、よりよい授業のありかたを考え、話し合い、深めていく会です。
社会科授業が好きな人、もっと学びたい人など、共に学びたい人が集まって充実した研修を重ねてきました。
全国の社会科授業を愛する人が集まって熱を帯び、そして全国各地に戻って社会科愛が広がっていく。
これまで26回の開催を数え、目的にふさわしい会になってきたと自負しております。
社会科が好きな人でも、得意ではない人でも、大歓迎です。
みんなが集まって、社会科の楽しさを語りつくすと、明日の社会科授業が楽しみになります。
ともに学ぶ仲間がいるということが、授業づくりを彩らせます。
一緒に社会科授業をつくる楽しさを味わいましょう!
夏のしゃかつく研には約100名のご参加をいただきました。それだけの熱量を感じ、本当にうれしく思います。今回は、由井薗健先生、粕谷昌良先生にゲストの宗實直樹先生が加わり、東西レジェンドが集結。社会科授業にどっぷりつかる1日となりました。写真は、協議会の様子。ラインオープンチャットを使いながら、参加型の話し合いとなりました。
粕谷先生からは当事者性と教室空間のお話。劇の役割決めの「公正」を考えた実践についての発表でした。「みんなを幸せにする決め方は?じゃんけんの他にはどんな決め方があるの?」という問いについて、1年生の子ども達と一緒につくった授業でした。オーディション、話し合い、じゃんけん、交代でみんなやる・・・。子ども達からたくさんの意見が出ましたが、それぞれは一長一短。みんなの納得を考えながら「交代でみんなやる」が決定しました。その話し合いによって、一人一人の友達の気持ちを一生懸命に考えてる姿勢、よりよく生きようとする姿勢が育っていったと感じています。1年生でも、ここまでの話し合いができるんです。学年は関係ないんですね。やっぱり、子どもを生かすのは授業なんだと思います。
4年生の「玉川上水」に関する授業の動画と記録から、由井薗先生の微細な授業技術についてお話がありました。「授業は布石の連続」というのは、有田和正先生の有名な言葉。その具体がこれでもか!と感じられる時間となりました。実際に授業ビデオを見ながら、教師の発問や受けの技術を解説。「なんでこのときとぼけて見せたの?」「この問い返しの意図は?」など、授業の一言一区を解説していただきました。由井薗先生のお話の後には、「名人の頭の中はそうなっていたのか!」「何気なく聞いていたけど、その一言にそんな意味があったなんて・・・」という声が聞かれました。授業を日常的に行っている私たちにとって、大いに参考になる60分でした。
「この人は絶対に子どもに会わせたいという人はいませんか?」
その一言から始まった講演。移動販売のとくしまるに関する授業実践が紹介されました。宗實先生の「優しい世界をつくりたい」との思いから、とくしまるの創設者に電話。紹介された方に、密着取材。買い物弱者になってしまった一人一人の顔を思い浮かべながら準備するかおりさん。優しさにあふれたこの世界、これを子どもに見せてあげたい。その感動から、授業が誕生していきました。なぜ社会科の授業では「人」を扱うのか?その答えは、社会そのものが、人でできているからなのだと思います。その人が、優しさ一杯に地域の皆さんを思い、行動できたらきっと素晴らしい社会が待っているはず・・・。そんな社会科らしい姿が見える実践でした。
静岡の原山先生が見事に「2026夏しゃかつく大賞」に選ばれました。実践内容は6年生の政治学習「もし、私が市長になったら・・・」でした。投票理由を見ると、
「自分が住んでいる自治体を扱いながら、学習が自分事になる目標設定がよかったです。自分の実践でも扱える学習だなと思いました」
「単元の作りが緻密でとても良かったです。自分毎に見事に落ちていました。6年担当になったら真似させて頂き頂きたいとおもいます」
など「自分事になっていた」「自分もやってみたい」という声が多くあり、参加者の方の心をがっちりつかんでいたということがうかがえました。
優勝の証として、由井薗先生から賞状が贈られました。
残念ながら大賞にはなりませんでしたが、山口先生、清水先生、吉田先生の発表も一人一人の社会科観が出たすばらしい発表でした。参加してくださって、ありがとうございました。
「地域素材を『知る対象』から『考える材料』へ」
地域素材を学ぶ意義とは何か。どのように教材化すれば、学びは深まるのか。
具体的な実践をもとに、社会的な見方・考え方や概念的知識について考え、生成AIも効果的に活用しながら、地域教材を「考える材料」にする授業づくりを探ります。
「子どもはどのように学びをデザインするようになるのか ―社会科における個別最適な学びと児童の変容―」
社会科における個別最適な学びとは、どのような学びなのでしょうか。社会科の授業において子どもたちが自ら問いをもち、学び方を選び、学びを調整していく姿に着目しました。授業の中で見られた児童の変容から、子どもが「自らの学び」をデザインしていくプロセスを考えます。
「私が市長に立候補⁉全員が主役の小6地方自治学習」
『政治』先行学習になった学習指導要領のもとで、子どもたちが夢中になって取り組める地方自治学習の実践を提案します。
『市長になってよりよい市をつくろう』というテーマで単元を構成しました。
「米農家の判断について対話することを通して、工夫や努力の理解を深める単元開発」
これまで、米づくりの学習では、「どのようにつくっているのか」「どんな工夫をしているか」で終わりがちでした。これらも抑えなければならない要点なのですが、一方で、実際の米農家は、正解のない判断を毎年繰り返しています。その「判断について、子ども同士が対話することで、米農家の工夫だけでなく、その背景にある心情、人のなりまで理解できるのではないか」と考え、実践しました。
6名で争われた2026冬のしゃかつく大賞ですが、優勝は東宇先生となりました。5年生の食料生産に関する実践でしたが、「ポンジュースの成分表示が変わった」という入り口から授業が始まりました。「国産のミカンがたくさん使われることはいいことでは?」という問いを子どもたちに追究させていきます。ミカンの後はバナナの話題へ。値段の高い京都のバナナの話から、フィリピンのバナナを作っている農家のお父さんの声にいたるまで、食料について終始考えさせられる内容でした。食料の先には必ず生産している人がいるのです。「食べる」ということから「みんなで支え合うこととはどういうことか?」という大きなテーマを突き付けられた実践が見事一位。大きな拍手が送られました。
由井薗先生が見せてくださったのは、水俣病の授業でした。いきなりですが、授業後のことを書かせてください。
「枯れてるねー…すごい授業でした」
粕谷先生の一言…日本の古典芸能の中には、芸の成熟度を春夏秋冬で表現することがあるそうです。春は芸を始めたばかりで初々しく、多くの芸が誕生して動き出す、夏は盛りに芸を磨いて表現する、秋は植物が少しずつ枯れて落ち着き出し、これまでの芸が実をつける、冬は葉が落ち、枯れたように見えるがなお一輪の花が咲いているような芸こそが、究極の成熟(まことの花)であるとされています。まさに、今回の授業は「枯れている」ということになると感じました。
子どもたちの調べる技能の高さ、自然とわいてくる他者の立場に立った発言、他の社会問題と比べて真を突こうとする子どもたちの姿、そしてただひたすらに子どもたちの発言を自然体で受け止める由井薗先生。学ぶということはこんなに自然体なんですね。これまでの由井薗先生の授業がぎゅっと凝縮したような授業をまさに生で見ることができました。
粕谷先生は節分に関する授業でした。授業導入、音楽の平野先生が動画で登場。夏もでしたが、歌から導入していきます。楽しい歌から授業が始まるということで、終始1年生の子どもたちは笑顔。そして、参観している私たちも、終始笑顔の時間となりました。
普通、節分の時に豆を投げるときは、
「ふくはうち!おにはそと!」
ですよね。しかし、全国には様々な節分の言葉があることがわかっていきます。
「おにはうち!ふくはそと!」
「ふくはうち!おにもうち!」
などと粕谷先生が紹介していくと、子どもたちはたくさんのことを考えて話し始めました。
「おには本当は心の中にいるから、『おにはうち』なんだろうね」
「はじめは、おにも人間だったのかな?いじめられておにになってしまったのだから、『おにもうち』にしなければならないよね」
子どもの意見が続いて、徐々に「おにとはなにか?」ということを一人一人が考えていくようになりました。
「おにって、人間がつくりだしたなにか悪いものではないか。」
そんな声が1年生の子どもたちから聞こえ始めました。人間が作り出したなにかわるいものとどのように向き合うべきか?という対話が止まりませんでした。子どもたちに考える楽しさを伝える粕谷先生の学級経営のすばらしさを感じました。
1学期に小河内ダムの授業が終わっても由井薗学級の子どもたちの追究は続きます。
「次の僕たちの使命は、『水を大切にしよう』というメッセージに取り組むことだと思う。第二章として取り組むことができると前向きに考えたい。僕たちのクラスには、『水』を語り継ぐ力があるからだ」
この言葉は、ある子の振り返りに書かれた言葉です。私たち人間が生きるうえで欠かせない「水」という大きなテーマに、由井薗学級の子どもたちは向き合い続けています。今回は、その取り組みの一つ、劇を見ることができました。水問題を考える子どもたちの言葉、子どもたちの表現はどれも生き生きとしていました。オープニングの中嶋みゆき「地上の星」の合唱も、非常にのびやかでした。ちなみに、この写真は粕谷先生の提供。学級担任として全力で子どもたちの劇を受け止める背中が、なんともかっこいいですね。
「いま、天竜の森を守るために一番大切なことは何か」
天竜の森林を守るために、誰のどんな取り組みが大切なのか。きこりさん、加工する人、使う人など多様な立場の人を調べ、子どもたちが価値判断に挑む社会科授業。地域とつながることで生まれた「真の学習問題」を問いていきます。
「島文楽を通じた『社会的な見方』の成長」
158年続く伝統の裏にある、保存会の負担や市の予算削減の現実を直視。補助金の是非を巡る議論を通じ、社会を支える人々の願いを捉える「社会的な見方」を成長させ、行動する子ども達の姿をプレゼンします!
「○○○○○○努力 ~勝浦のキンメ漁~」
私たちはこの先行き不安な社会の中で、「今の自分」を必死に守りながら生きています。しかし、SNSなどで広がる人々の「分断」を始め、高まる人々の「暴力性」。今こそ、他者や地域、そして未来を大切にしている人々の営みの価値を私たちは考えたい。水産業の世界で生きる勝浦の漁師の営みを教材化。「とりすぎない」努力の美しさと現実を学ぶ。
「心が動く『ひと・もの・こと』との出会いでひらく社会科授業」 「これからの食料生産」という大きなテーマにオレンジジュースやバナナといった身近なものから迫り、『「わたしたち」が社会のつながりの中で生きていること』を見つめることをめざした実践を提案します。
「よのなか」に本気で向き合う学びの創造~「源たれ」人気のひみつ~
青森が誇るご当地調味料「スタミナ源たれ」。事実とのインパクトのある出会いを通して、子供が「よのなか」の出来事に本気で向き合い、教師の○○的アプローチによって少しずつ本質へと迫っていきます…。
「なぜ、自助の取組は進まないのか?」
災害の多い国、日本。ただ、日本では自助の取り組みは頭打ち傾向にあります。お家での自助調べから問いをもった子どもたちが自助が進まない理由を自分自身の行動と照らせ合わせながら追究する実践をプレゼンします。
「いつもながら最高のセミナーでした。由井薗先生、粕谷先生の授業は目から鱗の連続でした。お二人の対談時間がもう少し欲しかったです。しゃかつく大賞はどれもレベルが高く、最後の投票は本当に悩みました。自分もあの場に立てるよう頑張りたいです。」
「教室空間の当事者」と言える子どもの姿がたくさん見られてとても素晴らしかったです。時間を忘れて子どもたちが追究する様子、その背景には意表をつく教材はもちろんですが、今回は特に先生方の関わり方がとても印象的でした。
「由井薗先生と粕谷先生の授業、素晴らしかったです。どちらの授業も学ぶところが多く、大人でもハッとさせられる子どもの発言がたくさんありました。その発言を引き出す教材や発問、子どもとの関わり、その技術を一つでも多く学べるようにしていきたいと感じました。私も子どもたちとあんな授業が一つでもできるようにしていきたいです。」
「しゃかつく大賞では、どの先生方も「社会科でこういう子どもを育てたい」という熱意のもと深く教材研究・実践されており、大変感銘を受けました。早速、真似してみたいと思う実践ばかりでした。 」
社かつく研では、筑波大学附属小学校の由井薗・粕谷の授業を見ることができます。資料提示や発問、板書が子どもたちのどんな思考を引き出しているのか?実際に目の前で授業を見ながら考えることができます。
授業の後には、由井薗・粕谷の対話があります。「今日の授業で、一番エモい瞬間はどこでしたか?」「やっぱりここかなあ」などと言いながら、板書を指差す…そんな風に両名から授業の振り返りを聞くことができます。発問の意味、子どもの見取りなど、筑波大学附属小学校の先生ならではの視点で両名が語りあいます。
名物企画「めざせ!しゃかつく大賞」では、全国の社会科好きの先生たちが授業作りの実践を発表し合います。公立・私立を問わず、社会科が好きな小学校の先生たちが、思い思いの実践を発表します。実践は十人十色。仲間たちの熱い実践を聞いて、刺激をもらえる時間です。最後は、参加者の投票で大賞が決まります。懇親会では投票結果の発表があり、緊張の瞬間が味わえます。
全国から筑波大学附属小学校に集まってくる仲間たち。授業を見て…実践発表を聞いて…仲間たちと語り合う場でもあります。地域が違えば、社会科の授業も変わります。人が違えば、社会科の指導観も違います。社会科だからこそ、全国各地にいる仲間たちと語り合う楽しさを実感することができます。
授業中、耳を立てて子どもの声を聞きとる、授業の後に板書の写真をとる、自分で感じ考えたことをメモにとる、授業の技術をぬすみとるなど、この研修に来ると、多くの「とる」が可能です。たくさんのことを学びとる時間になるように事務局一同、お待ちしております。
今大会のめざせ!しゃかつく大賞は、清水先生に輝きました。
「社会的事象には、必ず作った人がいる」
という視点から授業を作ってきた清水先生。今回は「日本国憲法を作った人」である「ベアテ・シライ・ゴードン」を教材化。若干22歳の女性であるシライに焦点を当てる授業づくりに多くの票が集まりました!
「マッカーサーノート」には三つの原則が書かれていたけど今の憲法の三原則となぜ一つだけちがうの?
ベアテがなぜ日本国憲法草案を作ることになったの?
など、子どもたちの追究が楽しい実践でした。
青森県八戸市から熱い実践を届けてくれた清水先生には、これからの実践報告も待ち遠しい限りです。今回は、本当におめでとうございました。
今回の「めざせ!しゃかつく大賞」に出場した4人。それぞれの熱い実践が全国から参加している先生の心を動かしました。
めざせ!しゃかつく大賞のグランドチャンピオン大会で優勝した嵐先生のコメント。今回は審査委員長として参加。常に冷静で的確。
恒例のしゃかつく大賞の開票作業。筑波の藤田先生と、八戸の清水先生の大接戦に粕谷先生も大興奮です。
※本のタイトルを押すと購入できるページにジャンプします。
この会は、粕谷が10年前に筑波大学附属小学校に赴任になったことがきっかけで立ち上げた会です。粕谷が私に、「一緒に、授業実践をメインとした研究会をやりましょう!」と言ってくれました。とにかく授業づくりに特化した研究会をしたいという思いですね。私自身も筑波大学附属小学校に来て初めて立ち上げた研究会ですので、強い思い入れがあります。その時はやっぱり、授業作りで勝負したいという1年だったんですね。もちろん教材という話もあるのですが、「授業から逃げない」ということ。この材を開発したからというものではなく、書きたての板書がそこにあって、子どもの発言をもとに語り合えるものが欲しいと思ったのです。学級経営に逃げたり、教材研究に逃げたりしてしまうというようなこともできるのですが、子どもにとっては授業一個一個が大事なのです。授業がうまくなりたいという粕谷の思いを形にしたい気持ちで、この研究会を発足させました。今もその思いは変わっていません。私自身も、授業力の向上を今も願い続けていますし、粕谷も同じ気持ちなのだと思います。だからこそ、この研究会には価値があると思っています。みなさんも参加していただき、生の授業を見て、子どもの反応や私たちの発問、板書など、授業本位で語り合えたらと思います。
この研究会を立ち上げるとき、私は筑波大学附属小学校に来たばかりで由井薗の授業づくりについて知ることで腕を高めたいという一心でした。どんな準備が必要で、どんな授業づくりが大切なのかということを知りたかったのです。由井薗と肩を並べて、授業が語れる場所が欲しかったという気持ちもありました。社会科の研究では、授業技術や児童との関わりよりも、教材の在り方を語られることが多々あります。しかし、教材世界とともに教室空間も、すなわち双方が大切だと考えています。目の前に子どもたちがいて、実際の授業を見ながら社会科について考え、話し合うことができる。そんな研究会があったらいいなと考えております。例えば、同じ教材であっても、同じ授業展開になるということはありません。児童と教師が織りなすものが授業なのです。授業は落語のようだと思うことがあります。江戸時代から続く同じ噺でも、高座に上がる落語家やその時のお客の反応で全く違う表情をもちます。同じ噺家が同じ演目を演じても、年齢によって大きく異なることもままあります。授業も同じではないでしょうか。同じ教師と同じ教材でも、授業者の考え方の変化や社会の変化で、全く違う授業展開になることがあります。この研究会は、常に由井薗と私の2人の授業を並べ、移りゆく社会(教育に求められるもの)と児童の変化を考えることも目的にしております。参加者の方々と一緒に語り合い、私自身も授業に対する見方を深められたらと思います。