スタジア測量とは、測量機器の望遠鏡内にある上スタジア線と下スタジア線を用いて、標尺の値を読み取り、得られた鉛直距離から間接的に水平距離や比高(2点間の高低差)を求める測量をいいます。高い精度は望めませんが、距離や高さを直接測量する必要がないので、地形に影響されず、作業速度は非常に速いです。そのため、細部測量に適しています。
下図に示すように、測点Aに器械を据え付け、測点Bを視準します。このときの水平距離Lを求めていきます。
このとき、Sは標尺の長さ [m]、fは対物レンズの焦点距離 [m]、aは上下スタジア線の間隔 [m]、dは器械の中心から対物レンズまでの距離 [m] です。
f、a、dは器械の固有の定数なので、これらをまとめます。
このとき、KはSに乗ずる定数なのでスタジア乗定数、CはSに加える定数なのでスタジア加定数と呼ばれています。また、この二つを合わせてスタジア定数といいます。近年の内部照準式望遠鏡はK=100、C=0としており、標尺の長さだけ求めれば、水平距離が計算できるようになっています。
次に、高低差のある土地を測量する場合について考えていきます。まずは、斜距離を求めていきます。
次に、水平距離と鉛直距離を求めていきます。
このとき、iは器械高 [m]、Zは視準高 [m]、⊿Hは比高 [m] です。
水平距離と比高の式をスタジア測量の一般公式といいます。また、K=100、C=0とし、倍角の公式を用いれば、次式のように変形することができます。
では、例題を1問解いていきます。
例題1:高低差のある測点AB間をスタジア測量したところ、上スタジア線の読みが2.641 [m]、下スタジア線の読みが1.379 [m]、鉛直角が-9°27'00"であった。このときのAB間の水平距離と比高を求めよ、ただし、スタジア乗定数は100、スタジア加定数は0、器械高は1.45 [m]、視準高は2.00 [m] とする。
では、標尺の長さ、水平距離、比高を求めていきます。
まとめとして、スタジア測量は上スタジア線と下スタジア線を用いて間接的に水平距離や比高を求める方法です。水平距離や比高を求めるためには、スタジア定数(スタジア乗定数とスタジア加定数)、鉛直角、器械高、視準高が必要です。