路線の縦断勾配が変化する場合は、走行交通車両の運動量の変化による衝撃の緩和と視距の確保のために縦断曲線を設置します。道路における視距とは、「車線の中心線上1.2mの高さから当該車線の中心線上にある高さ10cmの物の頂点を見通すことができる距離を当該車線の中心線に沿って測った長さをいう」と道路構造令に定義されています。道路構造令に規定されている道路の設計速度と視距、縦断勾配、縦断曲線の半径、縦断曲線の長さの基準は次のようになります。
一般に、道路の縦断勾配の変化に伴う車両走行時の衝撃緩和に必要な縦断曲線長は、放物線を円曲線に近似した次式により求めます。その後、道路構造令の縦断曲線基準値に整合しているか照査します。実際の縦断曲線は計算値の1.5〜2.0倍の値を採用することが多く、車両走行の快適さを確保しています。
このとき、Lは縦断曲線長 [m]、Rは曲率半径 [m]、| iA-iB |は縦断勾配の代数差の絶対値 [%]、Vは設計速度 [km/h] です。
一般的な縦断曲線は下図のように表されます。また、曲線を半径Rの円曲線に近似すれば、任意点の支距は次式で表されます。
二次放物線による縦断曲線の公式は次式によって表されます。
二つの支距の式は実務上の差が微小なので、両式を合わせます。
ここで、θを微小とするとl=L/2となり、支距の式は次のように変形できます。
道路の勾配はパーセント表示であること、縦断勾配は代数差の絶対値であることから支距は次式のようになります。
では、例題を1問解いていきます。
例題1:下図のような断面曲線の設置に必要な断面の諸量を計算せよ。ただし、道路の設計速度は60 [km/h] とする。
まずは、縦断勾配を計算していきます。
次に、縦断曲線長と道路の地盤高さを求めていきます。設計速度が60 [km/h] なので、縦断曲線半径は1,000 [m] となります。
また、縦断曲線長は一般的に計算値の1.5〜2.0倍として決定します。
道路構造令における縦断曲線長は50.000 [m] 以上となっています。そのため、ここでは、間をとって縦断曲線長を70.000 [m] とします。続いて、縦断曲線始点の位置と高さを計算していきます。
No.5の支距も計算します。このとき、x軸の原点は縦断曲線始点にあることに注意して下さい。
では、中心杭の位置と高さを決定していきます。
まとめとして、縦断曲線は走行交通車両の運動量の変化による衝撃の緩和と視距の確保のために設置します。道路構造令には道路の設計速度、視距、縦断勾配、縦断曲線の半径、縦断曲線の長さが規定されています。