平均流速を求める公式はたくさん存在しており、ここではそれら公式について紹介していきます。
①ダルシー・ワイズバッハの式
ダルシー・ワイズバッハの式を変形して平均流速を求める方法です。ダルシー・ワイズバッハの式の詳細については6.4 摩擦損失水頭を参照して下さい。式にすると次のようになります。
このとき、fは摩擦損失係数 [単位なし]、Iは動水勾配 [単位なし] です。
動水勾配は単位長さあたりの摩擦損失水頭で表わされます。また、円管の径深を使って次のようにも表現できます。
上式は合理的で精度も良いのですが、摩擦損失係数の算定が複雑であり実際の管水路の計算には若干不便です。そのため、直接的に平均流速が求められる実用的な式が多数提唱されました。
②シェジーの公式
シェジーの公式は1769年にフランスのアントワーヌ・シェジーによって提案された実験式です。
このとき、Cはジェシー係数 [m1/2/s] です。
シェジー係数は水路の水の流れやすさを表しています。提唱された当時はシェジー係数を定数として扱っていましたが、その後実測により定数でないことが証明されました。そのため、現在はあまり使われていません。
③ガンギレー・クッターの公式
ガンギレー・クッターの公式はシェジー係数が定数でないことを証明しました。
このとき、nは粗度係数 [m-1/3・s] です。
粗度係数は壁面粗さの程度を与える係数であり、値が大きいほど水路壁面が粗いことを表しています。しかし、この式も複雑過ぎたため、現在はほとんど使われていません。下水道の配水管設計のときに用いられる程度です。
④ヘーゼン・ウィリアムスの公式
ヘーゼン・ウィリアムスの公式は管水路の水の流れを動水勾配によって関係づけた経験式であり、上水道の配水管設計のとき用いられていました。この式は非常に計算しやすいというメリットがあるのですが、水にしか適応することができず、水温や粘性について考慮していないことから次第に使われなくなっていきました。ちなみに、式中のCHは管種よって決定する粗度係数を示しています。
⑤マニングの公式
マニングの公式は、アイルランドの技術者であったロバート・マニングによって考案された公式であり、現在最もよく使われている平均流速の公式です。今回はこのマニングの公式だけを覚えてもらえれば大丈夫です。よく用いられる理由としては、式が簡単なことや流速がガンギレー・クッターの公式とほぼ同一であることが挙げられます。
また、マニングの公式とダルシー・ワイズバッハの式から摩擦損失係数fと粗度係数nとの関係式が求まります。
では、例題を1問解いて終わりましょう。
例題:内径0.6 [m] の管水路に動水勾配1/200で水を流すときの平均流速を求めよ。ただし、粗度係数は0.013とする。
径深を求めてから、平均流速を計算します。
まとめとして、平均流速を表す公式はたくさんあるのですが、現在はマニングの公式が一番使われています。マニングの公式は今後もたくさん出てきますので公式を暗記しておいて下さい。