海面は1日に1回または2回、規則的な昇降を繰り返しています。この現象を潮汐といいます。また、海面が極大になった状態を高潮(満潮)、極小になった状態を低潮(干潮)、高潮と低潮の海面高さの差を潮差といいます。通常、高潮と低潮は1日に2回ずつあり、その場合の平均周期は12時間25分となります。そのため、高潮または低潮は毎日約50分ずれている計算になり、年に数回だけ高潮と低潮が1回しか起きません。
この満潮と干潮が1日に1回しかないときを1日1回潮、1日2回あるときを1日2回潮といいます。そして、1日2回潮の場合における午前の高潮(低潮)と午後の高潮(低潮)の差を日潮不等といい、高い方の高潮を高高潮、低い方の高潮を低高潮、高い方の低潮を高低潮、低い方の低潮を低低潮と呼びます。
潮汐が生じるのは太陽と月(太陰)の万有引力が原因であり、地球、太陽、月が一直線上になるときに起潮力は最大となります。このときの潮汐を大潮といいます。また、地球から見た太陽と月が直角方向のときに起潮力は最小となります。このときの潮汐を小潮といいます。実際の大潮や小潮は起潮力が最大あるいは最小になった1〜3日後に起こります。ちなみに、月の起潮力は太陽に比べて2.5倍ほど大きいとされています。
潮汐の主原因となる太陽または月などの星との距離や相対位置は絶えず変化するため、実際の潮汐は非常に複雑となります。そこで、実際の潮汐を様々な星によって起きた規則波が合成されてできたものと仮定します。この一定の周期と潮差を持つ潮汐を分潮といい、主要なものとしては主太陰半日周潮M2、主太陽半日周潮S2、主太陰日周潮O1、日月合成日周潮K1が挙げられます。
ある地点の分潮が詳しく求められると、これらを重ね合わせてその地点の潮汐を予報することができます。日本では気象庁の潮位表、海上保安庁の潮汐表を毎年発行しており、これらには毎日の高潮・低潮の高さとその時刻が記載されています。予報値が記載されていない地点でも、潮汐改正数(潮高比と潮時差)が記載してあれば、標準港の予報値を用いてその地点の潮位を推定することができます。
地形図は標高で表され、東京湾平均海面(T.P.)が標高0 [m] となっています。一方、海図は水深で表され、各潮汐観測所の最低水面(基本水準面、C.D.L)が水深0 [m] となっています。そのため、基本水準面より浅くなることはほとんどなく、船の座礁を防いでいます。基本水準面は平均海面からM2、S2、O1、K1の振幅の和だけ下がった面として定義されています。
このとき、y0は基本水準面の高さ [m]、yは平均海面の高さ [m]、HmはM2の振幅 [m]、HsはS2の振幅 [m]、HoはO1の振幅 [m]、HkはK1の振幅 [m] です。
まとめとして、潮汐は太陽や月(太陰)などの万有引力によって生じる長周期波であり、規則波が合成されてできたものを仮定しています。この規則波を分潮といい、主要なものとしては主太陰半日周潮M2、主太陽半日周潮S2、主太陰日周潮O1、日月合成日周潮K1が挙げられます。