流域に降った雨は様々な経路を通りながら河川へ流れ込んでいきます。この降雨から河川流への変換を流出現象と呼びます。流出を簡単な図にすると次のようになります。
地表に到達した雨が地中へと移動する現象を浸透といい、浸透量は降水量と同様に長さ [mm] の単位で表されます。浸透量は雨の降り始めに多く、時間が経つにつれて徐々に減少していく傾向にあります。また、単位時間当りの土壌への浸透量を浸透速度といい、[mm/h] の単位で表されます。浸透速度を表す式としてはホートンの式があり、時間が経つと一定値に収束します。
このとき、fcは最終浸透速度 [mm/h]、f0は初期浸透速度 [mm/h]、kは減衰係数、tは時間 [s] です。
浸透できなかった分は地表面を斜面に沿って流れていきます。これを表面流といいます。一方、浸透した水は河川に流れるものと地下水層に流れるものに分かれます。浸透した後に河川に流れるものを中間流といい、砂礫層の場合は流れ出てくるまでの時間が短いために早い中間流、粘土層の場合は流れ出てくるまでの時間が長いために遅い中間流と呼ばれます。また、地下水層まで浸透した後に河川に流れるものを地下水流といいます。
短時間で流出する表面流と早い中間流は合わせて直接流出と呼ばれます。一方、月単位から年単位の長時間かけて流出する遅い中間流と地下水流は合わせて基底流出と呼ばれます。また、早い中間流と遅い中間流を分けずに中間流としているときは表面流と中間流が直接流出、地下水流が基底流出となります。この直接流出と基底流出を足し合わせたものを総流出といい、流出量は流量と同じ [m3/s] の単位で表されます。
まとめとして、降水が河川に流れる現象を流出といい、直接流出と基底流出に分けることができます。直接流出は短時間で流出する表面流と早い中間流を合わせたもの、基底流出は長時間かけて流出する遅い中間流と地下水流は合わせたものです。また、浸透速度を表す式にはホートンの式があります。