鉄筋の標準的な長さは5〜10 [m] であるために、大きなコンクリート構造物を建設するときは鉄筋を継がなければいけません。しかし、継手は弱点となりやすいので、継手の設計・施工に関しては、以下のことに留意する必要があります。
①鉄筋の継手は、鉄筋の種類、直径、応力状態、継手位置などに応じて選定しなければいけません。
②鉄筋の継手位置は、できるだけ応力の大きい断面を避けるようにします。
③鉄筋の継手位置は同一断面に集中させず、継手位置を軸方向に相互にずらす距離は継手の長さに鉄筋直径の25倍を加えた長さ以上を標準とします。
④継手部と隣接する鉄筋とのあき、継手部同士のあきは、粗骨材の最大寸法以上とします。
⑤鉄筋を配置したあとに継手を施工する場合は、継手施工用の機器などが挿入できるあきを確保しなければならない。
⑥継手部のかぶりは8.1 鉄筋のかぶりとあきの規定を満足するものとします。
鉄筋の継手は重ね継手と鉄筋相互を接合する継手に大別されます。重ね継手は鉄筋を単に重ねてコンクリートを打設するため、非常に施工が容易ですが、施工が不十分だと継手の強度が著しく低下します。そこで、軸方向鉄筋に重ね継手を用いる場合は以下の事項に留意する必要があります。
①配置する鉄筋量が計算上必要な鉄筋量の2倍以上、かつ同一断面での継手の割合が1/2以下の場合、継手の重ね合わせ長さは基本定着長以上としなければいけません。
② ①の条件の内、どちらか一方が満足されない場合、重ね合わせ長さは基本定着長の1/3倍以上とし、継手部を横方向鉄筋などで補強しなければいけません。
③①の条件の内、どちらも満足されない場合、重ね合わせ長さは基本定着長の1.7倍以上とし、継手部を横方向鉄筋などで補強しなければいけません。
④重ね合わせ長さは鉄筋直径の20倍以上とします。
⑤重ね継手部の帯鉄筋間隔は100 [mm] 以下とします。
⑥水中コンクリート構造物の重ね合わせ長さは、原則として鉄筋直径の40倍以上とします。
⑦重ね継手は、交番応力(引張応力と圧縮応力が交互に作用する応力)を受ける塑性ヒンジ領域では用いてはいけません。
また、スターラップに重ね継手を用いる場合は以下の事項に留意する必要があります。
①重ね合わせ長さを基本定着長の2倍以上、または端部に直角フック、鋭角フックを設ける必要があります。
②重ね継手の位置は圧縮域、またはその付近にしなければいけない。
ちなみに、鉄筋相互を接合する継手は溶接、圧接、機械式継手の3種類あり、アーク溶接、フレア溶接、ガス圧接、ネジ節鉄筋継手、モルタル充填継手などが開発されています。
まとめとして、鉄筋の継手、重ね継手は上記の点に留意して設計する必要があります。