アスファルトは炭化水素を主成分とした固体または半固体の膠状物質(粘り気のある物質)であり、熱を加えると徐々に液化する性質を持ちます。また、アスファルトは天然アスファルトと石油アスファルトに大別されます。
①天然アスファルト
天然アスファルトは地層中のバクテリアや圧力などによって原油が分解されてできたものであり、産出場所によって成分や物理性状が異なります。天然アスファルトは紀元前3,800年頃から接着剤や防水材として使用されており、1,800年代半ばになると現代と同じように道路の舗装材料として使用されるようになります。その後、石油産業の発展とともに石油アスファルトが台頭し、天然アスファルトの舗装材料としての使用率は徐々に減少していくことになります。現在は、印刷インク材料として天然アスファルトが使用されています。
②石油アスファルト
原油を人工的に精製して得られるアスファルトを石油アスファルトといいます。原油は常圧蒸留装置と減圧蒸留装置によって精製されていき、常圧蒸留装置では原油が液化石油ガス(LPG)、揮発油(ガソリン)、灯油、軽油に精製されます。また、減圧蒸留装置では常圧残油(常圧蒸留装置で精製されなかった油)が重油と潤滑油に精製されます。そして、最後まで精製されなかった残渣物が石油アスファルトとなります。
石油アスファルトは製造方法によってストレートアスファルト、ブローンアスファルトなどに分類することができるのですが、いずれのアスファルトも針入度という硬さの指標を基準に等級が設定されています。針入度は一定の温度を保ったアスファルトに規定の針が進入した長さを10倍した値であり、試験方法がJISにより規定されています。
アスファルトの一般的な性質は針入度、軟化点、引火点、伸度などによって表わされます。軟化点はアスファルトが一定の粘度に達したときの温度、引火点はアスファルトが引火するときの温度、伸度はアスファルトの延性であり、全て試験方法がJISによって規定されています。
まとめとして、アスファルトは原油を分解することで生成される膠状物質であり、天然アスファルトと石油アスファルトに大別することができます。アスファルトの性質は針入度、軟化点、引火点、伸度などによって表わされます。