橋梁やダム、トンネルなどの構造物に使用される材料は多種多様であり、目的に応じて諸性質を理解することは非常に重要です。かつては、石材、木材、粘土などが専ら用いられていましたが、最近は鉄鋼、コンクリートが主として用いられています。また、新素材の利用も盛んに行われています。ちなみに、建設材料は以下のように分類することができます。
建設材料が具備すべき条件としては、①構造物の供用期間中に必要な力学的、物理的、化学的性質を有すること、②構造物が置かれる環境において機能を維持する耐久性を有すること、③価格が安いことなどが挙げられます。
構造物を設計する際、最も重要なのが強度です。強度はその材料がもつ変形や破壊に対する抵抗力を意味し、大きく分けて静的強度、衝撃強度、疲労強度の3つに分類されます。ちなみに、強度の単位は [N/m2] または [Pa] で表されるのが一般的です。
①静的強度
静的強度は比較的遅い載荷速度で材料を破壊したときの強さを指します。外力の作用状態により、圧縮強度、引張強度、曲げ強度、せん断強度、ねじり強度などがあります。
②衝撃強度
衝撃強度は材料に極めて速い載荷速度で材料が破壊したときの強さを表します。衝撃強度は抵抗力を直接測定するのが難しいので、材料のエネルギー吸収量から間接的に求めるのが一般的です。
③疲労強度
複雑な繰返し荷重を材料が受けるとき、材料の強度より小さい場合でも材料が破壊することがあります。このような破壊を疲労破壊といい、そのときの強度を疲労強度といいます。疲労強度は疲労試験によって求めることができます。
疲労試験では一定荷重で繰り返し載荷させ、材料が破壊したときの回数と応力をグラフにプロットしていきます。荷重値を変えながら試験を何度も行うと下図のような結果が得られます。この図をS-N曲線といい、ある応力以下で破壊しないときが現れます。このときの値が疲労強度と定義されています。また、コンクリートなどは繰り返し荷重を加えると必ず破壊してしまうため、所定の回数を設定しその回数に到達するときの応力が疲労強度となります。
まとめとして、材料工学では主要な建設材料の製法、性質、種類等について学んでいきます。そのときに重要となるのが強度であり、強度は大まかに静的強度、衝撃強度、疲労強度の3つに分類することができます。