8.1 斜面の破壊形態

自然斜面や盛土斜面など地表面が傾斜している場合は、より安定性の高い状態になろうとし、重力作用によって低い位置に移動しようとします。このとき、土の内部にはせん断応力が発生し、その大きさがせん断強さを超えたときに斜面は崩壊します。斜面の崩壊としては、自然斜面では平面すべりとなることが多く、人工斜面では円弧すべりとなることが多いです。

盛土などの均質な土でできている斜面は円弧すべり面を仮定して安定計算が行われます。円弧すべり面は3タイプに分けることができます。

①斜面先破壊

すべり面の下端が斜面先を通る破壊で、斜面が比較的急なときに生じやすいです。

②底部破壊

すべり面の先端が斜面先の前方を通る破壊で、固い基礎地盤が深いときに生じやすいです。

③斜面内破壊

すべり面の先端が斜面の途中を切る破壊で、固い基礎地盤が浅いとき生じやすいです。

すべり面の形状は、斜面の高さ、勾配、基礎の深さ、土の内部摩擦角から推定することができます。また、安全性を評価する際には、次式によって安全率が算出されます。道路や盛土における安全率は1.2以上になるよう設計する必要があります。

まとめとして、斜面のすべり破壊は平面すべりと円弧すべりに分けることができます。また、円弧すべりは斜面先破壊、底部破壊、斜面内破壊に分けられます。