6.8 地震時の土圧

地震時の土圧は物部・岡部の式がよく用いられます。物部・岡部の式はクーロンの土圧論をもとに震度法の概念を取り入れたもので、重力と地震の合成力は下図のように表わされます。

一般的に鉛直方向の力は無視されます。また、擁壁など全体が地震合成角の分だけ前方に傾いたとして、主働土圧係数や主働土圧合力が次のように算出されます。

このとき、paeは地震時主働土圧合力 [kN/m]、Kaeは地震時主働土圧係数 [単位なし] です。

地震時主動土圧合力は、クーロンの常時土圧と同様に壁面摩擦角の分だけ傾き、擁壁底面からH/3の高さに作用します。また、嵩上げ盛土を震度法に基づいて拡張した式として中畑式があります。中畑式は下図の場合にのみ適応することができます。

中畑式は常時主働土圧と地震時主働土圧で式が異なります。まずは、常時主働土圧の式からです。主働土圧は次式のすべり角の条件を満たす必要があります。

次に、地震時主働土圧の式です。

その他にも、修正物部・岡部の式や道路橋示方書で定められた式など色々あります。気になる方は自身で検索して下さい。

まとめとして、地震時の土圧計算には物部・岡部の式や中畑式があります。