圧密試験は、粘土地盤の圧密沈下量や沈下時間を推定するために、圧密定数cv、圧縮指数Ccなどの定数を求めることを目的としています。標準的な圧密試験は、粘土地盤から採取した試料を直径6 [cm]、高さ2 [cm] の供試体とします。その供試体の側面を拘束するために圧密リングを入れ、上下面に透水性の多孔板を当てて両面排水とします。その後、段階的に載荷し、変位計(ダイヤルゲージ)により供試体の圧縮性を測定していきます。
載荷は通常10、20、40、80、160、320、640、1280 [kN/m^2] の8段階が標準とされています。また、各載荷段階での沈下量の読み取りは6秒、9秒、15秒、30秒、1分、1.5分、2分、3分、5分、7分、10分、20分、30分、40分、1時間、1.5時間、2時間、3時間、6時間、24時間の20回が標準とされています。圧密試験は、沈下量読み取りの24時間を8段階しないといけないので、最低8日かかることになります。また試験終了後に、除荷を2段階ぐらいに分けて行い、膨張量も測定しておく必要があります。
では、試験結果の整理です。得られたデータを順番に整理することで、圧密沈下量や沈下時間に必要な係数を求めていきます。順番は、圧密係数cv、圧縮率β、透水係数k、間隙比e、圧縮指数Ccまたは膨張指数Cs、圧密降伏応力pcです。
①圧密係数cv
圧密係数は√t法または曲線定規法で求めていきます。
√t法は縦軸が沈下量d、横軸が時間の平方根√tのグラフに圧密試験で得たデータをプロットしていきます。すると、曲線を描くことができるのですが、この曲線は時間の値が小さいところでは直線となります。この直線を縦軸と交わるまで延長し、交点を初期補正値d0とします。次に、直線の傾きを1.15倍し、初期補正値d0を始点に線を引き直します。そして、傾きを1.15倍した直線と実験で得られた曲線の交点を圧密度90%のときの時間t90、圧密沈下量d90とします。すると、次の式から圧密係数を求めることが出来るようになります。
このとき、H0'は各載荷段階前の供試体高さ [cm]、H1'は各載荷段階後の供試体高さ [cm]、t90は圧密度90%に対する時間 [s]、d90は圧密度90%に対する沈下量 [cm] です。
曲線定規法は実験で得られた曲線を曲線定規と重ね合わせます。そして、実験の曲線と最も長く合う曲線定規を選び、沈下量d100を決定します。その沈下量d100の値を半分に割ることで沈下量d50を求め、プロットした図から時間t50の値を調べます。すると、次式から圧密係数が求まります。
②圧縮率β
圧密試験の供試体は断面積が一定となるため、圧縮量と圧密圧力の比から求めることができます。式は次のようになります。
③透水係数k
透水係数は次式より圧密係数から求めることができます。
④間隙比e
各載荷段階の間隙比は供試体の乾燥質量ms、土粒子の密度ρs、初期高さh1、各載荷段階での圧密量⊿hを測定すれば、次式より順次計算することができます。各載荷段階毎に得られた間隙比eと圧密圧力pを使ってe-logp曲線を描いていきます。
⑤圧縮指数Ccまたは膨張指数Cs
圧縮指数は、e-logp曲線の正規圧密領域における直線の傾きで与えられます。また、膨張指数は、e-logp曲線の過圧密領域における直線の傾きで与えられます。式は次のようになります。
⑥圧密降伏応力pc
圧密降伏応力を求める方法には、キャサグランデ法と三笠法があります。まずは、キャサグランデ法から説明していきます。
キャサグランデ法は、まずe-logp曲線の最大曲率(折れ曲がりの最大部分)を決め、その点をAとします。次に、点Aから水平線ABと点Aでの接戦ACを引きます。最後に、水平線ABと接戦ACを2等分する線ADを引き、圧縮指数Ccを求めるときの直線の延長と線ADの交点Eを求めます。この交点Eにおける圧密応力が圧密降伏応力となります。
三笠法は、まずCc'とCc''を求める必要があります。Cc'とCc''の式は下に書いておきます。次に、直線Cc'とe-logp曲線が接する点を探します。また、この点をAとします。最後に、点Aを通る直線Cc''を引き、直線Ccと直線Cc''の交点Bを求めます。この交点Bにおける圧密応力が圧密降伏応力となります。
まとめとして、圧密試験では、圧密係数cv、圧縮率β、透水係数k、間隙比e、圧縮指数Ccまたは膨張指数Cs、圧密降伏応力pcの7つを求めることができます。これらの値は、時間係数Tv、圧密沈下量S、圧密度Uzを計算するときに必要となってきます。