洪積層は沖積層より固結度が高く、やや締まった状態にあります。また、洪積層の粘土層は過圧密状態、沖積層の粘土層は正規圧密状態であることが多いです。洪積粘土層が過圧密状態になっている原因としては次のようなことが挙げられます。
①地盤の隆起または海水面の低下後、侵食作用を受けて上載荷重が除去された状態。
②地下水が低下し、浮力の分だけ自重が増加した後に再び地下水が上昇し、浮力が働いた状態。
③地表面の乾燥と蒸発が繰り返し起き、地盤が変化した状態。
④土粒子間のセメンテーションが起きた状態。
⑤氷河荷重により圧密された後、温暖化により氷河が消失した状態。
日本では⑤はほとんど見られませんが、これらの理由により洪積粘土層は有効応力が上昇し、過圧密状態にあると考えられています。そのため、洪積粘土層は沖積粘土層より固結度が高く、支持力も大きいです。
洪積砂層は堆積年代の古いものほど間隙比は小さく、乾燥密度は大きいのが特徴です。沖積砂層のN値が5〜15なのに対し、洪積砂層のN値は30以上が多く、褐鉄鉱(鉄の酸化鉱物であり、天然の錆)の沈殿により砂粒子同士が固着し、かなりの強度を示すものもあります。従って、洪積砂層や洪積砂礫層は良好な支持層といえます。しかし、砂粒子同士が固着しておらず単に締まっているだけの砂層では、地下水の上向きの流動によってクイックサンドまたはボイリングを引き起こし、緩詰めの砂層に変わる場合があるので注意が必要です。
洪積層の火山灰層や軽石層は通常の堆積層とは異なった性質を持っており、土質力学的にも特異な挙動を示します。代表的な火山灰層である関東ローム層は間隙比が3〜4と通常の粘土層よりも大きく、含水比も80〜180%と極めて高いです。一方、圧縮強度は50〜150 [kN/m2] であり、圧密降伏応力は200〜400 [kN/m2] と比較的大きく、一般の建設物に対する許容支持力は100 [kN/m2] 程度まで期待できます。
関東ローム層のN値は3〜5であり、その強度から推測されるN値と比べるとかなり小さく、撹乱により軟弱化する性質を持っています。締固めも困難であり、寒冷地ではアイスレンジの形成による凍上も起きるため、建設工事をする上では問題の多い土といえます。他の洪積層の火山灰層や軽石層も同様か、それぞれに特殊な土質力学的特性を持つ場合が多いです。
まとめとして、洪積粘土層は過圧密状態にあり、沖積粘土層よりも支持力も大きいです。洪積砂層は良好な支持層ですが、単に締まっているだけの場合はクイックサンドを引き起こします。洪積層の火山灰層や軽石層は圧縮強度や降伏圧密応力は大きいですが、N値が小さいため、撹乱により軟弱化する性質を持っています。また、締固めが難しく、凍上も発生するため、非常に注意する必要があります。