丘陵地はなだらかな丘、台地は急斜面や崖を持つ丘を指し、どちらも軟岩で形成されています。これらの地層は形成の仕方によって5つ分けることができます。
①海成層
現在の海水面の変動値を0とすると、地球は下図のように長期サイクルで海水面の昇降を繰り返しました。ウルム氷期以前の温暖期は海水面も高く、そのときに堆積した洪積層が台地や丘陵地を形成しており、地上に露出した地層(洪積層)を海成層といいます。ウルム氷期以降は埋没谷を形成するのですが、詳しい内容については3.2 低地の形成を参照してください。ちなみに、陸上に堆積してできた地層を陸成層といい、砂漠・砂丘などの風による堆積物、河川・湖沼などの水底の堆積物、氷河堆積物などが挙げられます。
②湖成層
新第三紀鮮新世から第四紀更新世の日本の盆地(周りが山に囲まれた平野)は湖でした。中でも、近畿地方の中央には琵琶湖よりも大きな湖が存在していました。このような湖に堆積した地層が丘陵地を形成しており、この地層を湖成層といいます。湖成層は砂層と粘土層で構成されており、扇状地(砂礫層)の下に湖成層(砂層と粘土層)が存在していることが多いです。
③段丘堆積層
段丘を形成している地層を段丘堆積層といい、段丘は成り立ちによって2種類に分けられます。
河川によって形成された段丘を河岸段丘といい、一般的に高い段丘ほど形成時期が古いです。また、河岸段丘の平坦な部分を段丘面、急崖部分を段丘崖と呼びます。海岸付近の河岸段丘はウルム氷期の海水面低下が原因であり、そのときの河川の下刻作用と側刻作用により形成されました。一方、山地の河岸段丘はウルム氷期の氷荷重の増大によって形成されました。その後、温暖化による豪雨の増加に伴い、河川幅が大きくなり、河川中流に沿って河岸段丘ができ始めます。そのため、河川中流の河岸段丘は砂礫層が多く、段丘崖から湧水していることが多いです。
ウルム氷期以前の海水面の変化や波力によって削られた後、海水面が下降し、形成された段丘を海岸段丘といいます。また、このような海岸を離水海岸といいます。海水面の位置が長期的にほぼ一定に保たれると、波力の浸食作用によって沖に緩く傾いた平坦な面が形成されます。この海岸段丘の平坦な部分を海食台、急崖部分を海食崖と呼びます。
④火山成堆積層
日本は火山活動が極めて活発であり、火山灰は偏西風によって東に運ばれました。その結果、北海道、東北、関東甲信越、九州中南部の台地や丘陵地には火山灰が厚く堆積しており、古い段丘ほど様々な火山灰層が堆積しています。一方で火山灰層は侵食の影響を受けやすいため、古い段丘ほど侵食されているところが多いです。このようにして形成された地層を火山成堆積層といいます。
赤褐色の火山成堆積層は外見上は均質で層理(層と層の堺目)は見られません。白色系や黒色の火山成堆積層は縦方向の割れ目が発達しやすく、垂直な崖を形成している場合があります。
⑤氷河成堆積層
氷河によって堆積した地層を氷河成堆積層といい、層理はほとんど見られないのが特徴です。層理を示さない理由としては、氷河によって侵食、運搬されたために礫、砂、粘土が入り混じった状態で堆積することが挙げられます。日本には高山地帯の一部を除いてほとんど分布していません。
まとめとして、台地や丘陵地を形成する地層は海成層、湖成層、段丘堆積層、火山成堆積層、氷河成堆積層に分けられます。