土の透水係数を求める試験を透水試験といい、透水試験は室内試験(定水位透水試験、変水位透水試験)と現場試験(揚水試験)に分けることができます。まずは、定水位透水試験からです。
①定水位透水試験
定水位透水試験は、透水性の高い砂質土(k=10-2〜10-3程度)に適応されます。下図に示すような一定の断面積Aをもつ容器(モールド)に長さlの土試料を入れ、一定の水位差hを保ちながら透水させます。このとき、決められた時間tにおける透水量Qおよび水温Tを測定することで透水係数kを求めていきます。
②変水位透水試験
変水位透水試験は、透水性の低いシルト質土など(k=10-3〜10-6程度)に適応されます。下図に示すような一定の断面積Aをもつ容器(モールド)に長さlの土試料を入れ、容器の上部に断面積aのスタンドパイプと貯水槽を設置します。まずは、貯水槽から水を流し、土試料を飽和させます。次に、スタンドパイプから水を入れ、水位がh1からh2に変化するときの時間t1とt2、温度Tを測定します。その結果を用いて透水係数を算出します。
微小時間dtの間に水位は下がっているので、透水量Qは-adhで与えられます。これをダルシーの法則に代入し、透水係数を求めていきます。
ちなみに、透水係数がシルト質土よりさらに低い粘土など(k=10-6〜10-8)の場合は、変水位透水試験では時間がかかりすぎてしまうため、圧密試験という別の試験を行い、その試験結果から透水係数を算出することが推奨されています。また、定水位透水試験、変水位透水試験ともに土試料を損傷させないように容器(モールド)に詰める必要があります。土試料が損傷してしまうと、土試料とモールドの壁面が密着しなくなり、その間を水が流れてしまいます。その結果、正しい透水係数が得られなくなりますので注意して下さい。
③揚水試験(被圧地下水の場合)
揚水試験とは、揚水井戸(地下水などをくみ上げるための井戸)の単位時間当たりの揚水量qと周辺に設けた観測井戸(地下水調査などのための井戸)での水位の低下量を測定し、透水係数を求める方法です。地下水が流れている層を帯水層と呼び、また、地下水は被圧地下水と自由地下水に分けることができます。
帯水層の上に不透水層があるとき、帯水層には不透水層の重みが圧力として加わっています。このような地下水を被圧地下水といいます。このときに観測井戸を設けると圧力の逃げ場ができ、水位は不透水層にまで上昇します。イメージは下図のようになります。
このとき、任意の半径rの円筒面を通過する流速vは、位置に依らず一定であり、v=ki=k(dh/dr)と仮定すると、単位時間当たりの透水量は次のように求まります。
④揚水試験(自由地下水の場合)
自由地下水とは、不透水層が上部にない地下水のとこであり、別名を不圧地下水といいます。自由地下水には自由水面と呼ばれる地下水位が存在しており、揚水していない状態では地下水位と井戸の水位はほぼ一致します。また、降雨などにより水位は上下し、夏になると井戸が涸れる現象がみられることもあります。このように自由地下水は地上からの影響を受けやすく、直接汚染物質が浸透する可能性もあります。では、式に移りましょう。
揚水井戸から水を汲み上げたときに地下水位への影響がなくなるまでの距離を影響半径Rといいます。この影響半径を用いれば観測井戸を掘らずに透水係数を概算できるようになります。
このとき、Hは汲み出し前の地下水位 [cm]、h0は汲み出し後の地下水位 [cm]、r0は揚水井戸の半径 [cm]、Rは影響半径 [cm] です。
影響半径は土質区分によってある程度の値が与えられています。
まとめとして、透水係数の値は透水試験によって求められます。透水試験は、透水性の高い砂質土を調べるときの定水位透水試験、透水性の低いシルト質土を調べるときの変水位透水試験、現場での実験によって求められる揚水試験の3種類に分けることができます。