地盤汚染を浄化する方法としては物理学的浄化方法、化学的浄化方法、生物学的浄化方法があります。
①物理学的浄化方法
最も簡単な物理学的浄化方法としては汚染土を浄化し、綺麗な土に置換する方法です。一般的には汚染拡散を防止するために汚染域の周辺に不透水の壁を設け、非汚染域と遮断する方法が採られます。また、遮蔽壁ではなくフィルタを用いる場合もあり、フィルタには汚染物質の吸着性に優れた材料が用いられます。
井戸を用いて汚染地下水を汲み上げる方法も物理学的浄化方法です。この方法は透水性の土層で適しており、化学的浄化方法や生物的浄化方法と組み合わせることも可能です。化学的浄化方法としては地下水の上流側に井戸を掘り薬剤を投入する方法、生物的浄化方法としては原位置での生物学的分解による方法などが挙げられます。
さらに、汚染物質が重金属や電解質な場合、電気泳動を利用することもできます。電気泳動は地中に正負の電極を刺し、電圧を与えることにより陽イオンは負の電極へ、陰イオンは正の電極へ移動させる方法です。この方法は粘土層など水の流れが悪い場合に効果的です。
アメリカでは有害物質を取り除く新しい技術が開発されました。地盤内の温度を1600℃から2000℃まで高めるとケイ素が溶融し、それが導電性となり有害物質が気化または熱分解します。そのとき発生したガスを収集することで有害物質を取り除いていきます。また、地盤に残ったものはガラス固化により無害化されます。この方法は固化率と除去率を合わせるとほぼ100%になることが報告されています。ただし、水分を多く含んだ土層では水分除去をしないといけないため、余分な電力を消費することになります。従って、地下水位より下の土層や地下水が流入する土層では地下水を遮断する必要があります。
②化学的浄化方法
汚染物のほとんどは化学物質のため、これを化学反応によって無害化するのが化学的浄化方法になります。多くの場合は土のpHを酸性にする薬剤を投入します。これは、土のpHが下がると土粒子に吸着している重金属が放出されやすくなるからです。
③生物学的浄化方法
多くの有機物は微生物によって分解されます。微生物の種類は多種多様ですが、特定の有機物を分解できる種は限られているため、対象とする汚染物質を分解できる微生物を使用する必要があります。従って、そのような微生物を探して培養しないといけません。このように微生物を用いて地盤汚染を浄化する方法が生物学的浄化方法になります。また、微生物は好気性、嫌気性、酸性を好むもの、塩基性を好むものと生育条件が様々なため、使用するときは注意が必要です。
まとめとして、地盤汚染を浄化する方法としては物理学的浄化方法、化学的浄化方法、生物学的浄化方法があります。