建築限界は自動車、自転車、歩行者の交通の安全を確保するため、一定の幅と高さの範囲内に構造物を配置しないよう確保した空間を指します。従って、この建築限界内には橋脚、橋台、照明施設、信号機、防護柵、道路標識、並木、電柱などいかなるものも設置してはいけません。
建築限界の規定は車道と歩道等に分けることができ、車道の規定は路肩を設ける場合、路肩を設けない場合、分離帯または交通島(ゼブラゾーンではなく縁石で一段島のように持ちあげたところ)の場合に分けることができます。
□車道の規定
①路肩を設ける場合
路肩を設ける道路の建築限界は普通自動車やセミトレーラー連結車の高さ3.8 [m] に車両の揺動等に対応する余裕高さを考慮し、4.5 [m] の高さを規定しています。また、路肩に車両が進入するときは低速もしくは停車していることが基本であるため、路肩においては余裕高さは考慮せず3.8 [m] まで高さを減ずることを認めています。
建築限界の左上が欠けている理由としては、道路標識などの配置をできるだけ低くし交通の安全性や利便性を高めるため、トンネルの拡張を防ぎ建設工事費を安くするためなどが挙げられます。
路肩を設ける道路でトンネル内や50 [m] 以上の橋梁や高架道路で歩道や自転車道を整備しない場合は下図の建築限界を規定しています。左下がない理由は経済性を考慮して地覆(橋の高欄の基礎)などの設置を可能としているからです。
②路肩を設けない場合
路肩を設けない道路では車両のドアミラー等の突出物等を考慮し、車道の外側0.25 [m] の空間を建築限界として確保することにしています。ちなみに、車両のドアミラー等は道路運送車両法に基づく保安基準によって0.25 [m] 以上突出してはいけないことが規定されています。
③分離帯または交通島の場合
分離帯の建築限界は3.3 横断面の構成で述べた中央帯幅員のcの値に準拠しています。また、交通島は一般道路に設置されることから、分離帯の第3種および第4種と同じ値を規定しています。
□歩道等の規定
歩道、自転車道、自転車歩行者道の建築限界は2.5 [m] と規定しています。これは人が自転車に乗車したときの高さを2.25 [m] と想定し、自転車の走行時の揺動等に対して0.25 [m] の余裕高さを確保しているからです。
まとめとして、建築限界は一定の幅と高さの範囲内に構造物を配置しないよう確保した空間を指します。建築限界の規定は車道で路肩を設ける場合、車道で路肩を設けない場合、分離帯または交通島の場合、歩道等の場合に分けることができます。