道路構造令は道路整備を行うときの道路構造について一般的な基準を定めた政令であり、道路構造を設計する際には守らなければいけない基準の一つです。道路構造令の適用範囲は道路を新設または改築する場合であり、修繕や災害復旧などの場合は適用範囲外となります。また、道路構造令の適用範囲外の道路がそのまま存在することも規定に抵触することはありません。
道路構造令では道路を下表のように区分しています。しかし、地方部と都市部に明確な区分はなく、状況に応じて使い分けているのが現状です。
これら第1種から第4種の道路は計画交通量を使ってさらに分類されています。計画交通量は将来通行するであろう自動車の一日の交通量であり、一年間の平均を取るのが一般的です。この計画交通量は建設する道路の規模を決定する重要な値であり、既存の道路がある場合は過去の交通量の伸びから予測を立てていきます。周りに既存の道路がない場合は他の似た道路から転用します。
一般的に、重要な道路では交通量調査を行い、その結果から計画交通量を予測します。その他の道路では国土交通省が主体となり定期的に行っている全国道路・街路交通情勢調査(道路交通センサス)の計画交通量を使用します。
①高速自動車国道
高速自動車国道は自動車専用道路なので、地方部に存在する場合は第1種に分類されます。平地部においては6車線以上または交通量の多い4車線道路(30,000台/日以上)を最重要道路として第1種第1級、交通量の少ない4車線道路または交通量の多い2車線道路(10,000〜30,000台/日)を第1種第2級、交通量の少ない2車線道路(10,000台未満)を第1種第3級としています。
また、山地部は平地部より建設費用が高く、建設効果が小さい場合が多いので、それぞれ1級下の級に分類されます。さらに、例外規定として第1種第4級を除いて1級下に下げることもできます。
高速自動車国道が都市部に存在する場合は第2種に分類されます。都市間高速道路が都市内高速道路に連結するときは第1種第1級を第2種第1級に接続する必要が生じてきます。この場合はドライバーが無理なく順応できるように第1種第2級の設計区間を設けるなどの配慮が必要になります。
②高速自動車国道以外の自動車専用道路
高速自動車国道以外の自動車専用道路が地方部に存在する場合は第1種に分類されます。専用道路は高速道路よりもトリップ長の短い道路を受け持つことが多いため、平地部で計画交通量が20,000台/日以上を第3級、20,000台/日未満を第4級としています。また、山地部ではそれぞれ1級下の級に分類されます。
都市部では計画交通量に関わらず、大都市の都心部の場合は第2種第2級、それ以外を第2種第1級に分類しています。計画交通量を使用しない理由としては、都心部のために常に4車線以上になること、既成街区の関連から他動的に決定されることが多いことなどが挙げられます。
③一般国道
一般国道は全国的な道路網の骨格となるため、第3種の中でも高規格な級を適用することにしています。平地部では4車線道路以上を第1級、交通量の少ない4車線道路と交通量の多い2車線道路を第2級、交通量の少ない支線的な役割の国道を第3級としており、山地部ではそれぞれ1級下の級に分類されます。
都市部は一般的に第4種第1級としていますが、計画交通量が4,000台/日の場合は第4種第2級にしています。
④都道府県道
都道府県道は地方の幹線道路網を形成するものであり、国道よりも路線延長が短く、広域的な幹線道路としての機能は弱いので第1級を用いることはありません。そのため、平野部で4,000台/日以上の場合は第2級、4,000台/日未満の場合は第3級としています。また、山地部ではそれぞれ1級下の級に分類されます。
都市部で計画交通量が4,000台/日未満の場合は補助幹線道路となるため、国道よりも1級低い第4種第3級としています。また、交通量が多いところは第1級、その中間を第2級としています。
⑤市町村道
市町村道は日常生活圏の道路が大部分であり、幹線としての性格は少ないですが、計画交通量が1,500台/日以上のときは平地部・山地部ともに都道府県道と同じ区分にしています。500〜1,500台/日の場合は平地部・山地部ともに第3種第4級にしており、さらに交通量が少ない場合は待機所ですれ違える1車線道路、すなわち第3種第5級に分類しています。
同様に、都市部で計画交通量が500台/日の場合は区画街路であり、第4種第4級に分類しています。
まとめとして、道路構造令は道路構造について一般的な基準を定めた政令であり、道路の場所(地方部・都市部)と計画交通量によって第1種第1級から第4種第4級まで区分されています。