9.3 四角形の調整

下図のような四角形の調整方法について勉強していきます。四角形の調整は角条件に対する調整と辺条件に対する調整があります。

①角条件に対する調整

角条件は、四角形の内角が360°であること、四角形が作る三角形の内角の和がそれぞれ180°であること、この二つの条件を満たす必要があります。そのため、四角形の角条件に対する調整は、角条件第一調整、角条件第二調整、角条件第三調整があります。

a. 角条件第一調整

角条件第一調整は次式によって表されます。角条件第一調整において、v1>0の場合はα1〜β4に-ε1、v1<0の場合はα1〜β4に+ε1をそれぞれ配分します。

このとき、vは角誤差、εは角調整量です。

b. 角条件第二調整

角条件第二調整は次式によって表されます。角条件第二調整において、v2>0の場合は(α11) > (α33)なので、α1とβ1に-ε2、α3とβ3に+ε2を配分します。v2<0の場合は異符号のε2をそれぞれ配分します。

c. 角条件第三調整

角条件第三調整は次式によって表されます。角条件第三調整において、v3>0の場合は(α22) > (α44)なので、α2とβ2に-ε3、α4とβ4に+ε3を配分します。v3<0の場合は異符号のε3をそれぞれ配分します。

②辺条件に対する調整

四角形の角条件調整角に対して辺条件の調整を行います。上図の四角形について正弦定理を適応します。

BCの式にそれぞれの式を代入し、式変形を行います。

上式の左辺と右辺の差が辺条件による角誤差(各観測誤差)であり、次のように表されます。

このとき、ωは角誤差(各観測誤差)です。

また、両辺を対数にとり、マクローリン展開をすると式を簡単にすることができます。

一方、誤差の調整量をεとしたものが次式となります。

ここで、αiの式について加法定理を適応し、εが微小量であることを用いて式変形をします。

同様に、βiの式についても式変形をします。

これらの関係を用いて式を整理します。

よって、四角形の辺条件調整量を次式によって求められます。

また、ωはラジアン表示なので、度分秒で表示したいときは次式で計算する必要があります。

では、例題を1問解いていきます。

例題1:四角形において以下の角観測結果を得た。四角形の角条件の調整と辺条件の調整を行え。

まずは、角条件第一調整、角条件第二調整、角条件第三調整を行っていきます。

四角形の角条件に対する調整結果を下の表にまとめます。ちなみに、小数点がでた場合は四捨五入して0.1"まで求めます。内角の和に端数が生じた場合は、辺条件に対する調整時に割り当てます。

次に、四角形の辺条件に対する調整を行っていきます。三角関数の計算から行うのですが、計算結果のみを表にまとめておきます。

では、角観測誤差を求めていきます。

最後に、辺条件調整量を求めます。

計算結果をまとめると次のようになります。ここで、ΠsinαiよりΠsinβiの方が大きかったので、αに+0.3"、βに-0.3"をそれぞれを加え、四捨五入をします。

まとめとして、四角形の調整は①角条件に対する調整と②辺条件に対する調整があります。角条件に対する調整は、四角形の内角が360°であること、四角形が作る三角形の内角の和がそれぞれ180°であることを用いて行います。辺条件に対する調整は、正弦定理が成り立つことを用いて行います。