三角測量は水平角を測定しないといけないのですが、三角点に測量機器が据え付けられない場合や他の三角点を視準できない場合は新たな据え付け点や視準点を設け、水平角を間接的に求めていきます。新しい据え付け点や視準点から元の三角点までの距離は偏心距離、新しい据え付け点で求めた水平角を偏心角といいます。また、偏心距離と偏心角を合わせて偏心要素と呼びます。
①三角点に測量機器が据え付けられない場合
下図のように三角点P0に測量機器を据え付けることができないときは、偏心距離だけ離れた点P0'に据え付け、三角点P1とP2と視準して偏心角を求めていきます。そして、正弦定理から水平角を計算します。
このとき、eは偏心距離 [m] です。
偏心距離eは距離S2と比較すると微小であるため、eとS2によって作られる角x2は微小角となり、sin x2 = x2とみなすことができます。同時に、弧度法を度数法で表すと次のようになります。
角度x1でも同様に求めることができます。
これらの式から、水平角を求めることができます。
②三角点を視準できない場合
下図のように三角点P1に測量機器を据え付け、三角点P0を視準できないときは、P0から偏心距離eだけ偏心させた視準点P0'を設けます。そして、正弦定理から水平角を求めていきます。
このとき、φは偏心角 です。
では、例題を1問解いていきます。
例題1:下図のように偏心点に測量機器を据え付け、三角点P1とP2を視準したときの水平角を求めよ。ただし、観測角T'は35°12'20"、偏心距離eは2.0 [m]、偏心角φは285°10'00"、距離S1は2.5 [km]、距離S2は1.6 [km] とする。
まずは、角度x1とx2を求めていきます。
では、水平角を計算します。
まとめとして、三角点に測量機器が据え付けられないときは新たな据え付け点を設け、他の三角点を視準できないときは新たな視準点を設けることで、水平角を間接的に求めていきます。水平角を間接的に求めるときは偏心距離や偏心角が必要となります。