体積の計算方法は断面法、点高法、等高線法に分類されます。
①断面法
断面法は道路や鉄道など長細い土積の計算を行う場合に使用されます。下図のような横断面図を作成して断面積を求め、盛土または切土の量を計算します。断面法には角柱公式、両端面公式、中央断面公式があります。
a. 角柱公式
角柱公式は両端が平行な断面で切られた立体を考えます。この立体のちょうど中央に平行な断面を取り、シンプソンの第一法則を用いて断面積を求めていきます。
シンプソンの第一法則を使って面積を求めたときと同様に、断面によって仕切られる区間の数は偶数でないといけません。奇数の場合は最後の1区間を両端面公式で体積を求め、全体積に加えます。
b. 両端面公式
両端面公式は面積計算のときの台形公式と同様の考え方で体積を求めていきます。台形公式については8.1 面積の計算(数学)を参照してください。両端面公式は計算が簡単なため広く用いられています。
c. 中央断面公式
中央断面公式は1区間における中央の断面積を平均断面積とみなして、それに区間長をかけて体積を求める方法です。
中央断面公式を用いる場合は、断面によって仕切られる区間の数は偶数でないといけません。奇数の場合は最後の1区間を両端面公式で体積を求め、全体積に加えます。
②点高法
点高法は敷地の地ならし、土取り場、土捨て場などの容積計算や広い面積の土工容積の算定を行うときに用いられます。底面積が分かっている場合は次式で求めることができます。
底面積が分からないときは長方形公式または三角形公式によって求めていきます。
a. 長方形公式
求めたい底面積を長方形に分割します。このとき、長方形の辺長をa、bとすれば、容積は次式によって表すことができます。
このとき、hnはn個の長方形が共有する頂点の高さ [m] です。
b. 三角形公式
求めたい底面積を直角三角形に分割します。このとき、直角三角形の辺長をa、bとすれば、容積は次式によって表すことができます。
このとき、hnはn個の直角三角形が共有する頂点の高さ [m] です。
③等高線法
等高線法は地形図に描かれている等高線を利用して体積を求める方法であり、山地の土量、ダムの貯水量などの計算に用いられます。下図のようにhを等高線間隔とし、プラニメーターなどによって面積を求めます。体積は得られた面積から両端面公式を用いて求めます。
また、角柱公式を用いれば体積は次式のようになります。
この場合も断面法の角柱公式と同様に、等高線で仕切られた場所が偶数でないといけません。奇数の場合は残りの一つを両端面公式で求める必要があります。
では、例題を3問解いていきます。
例題1:下図のように20 [m] 間隔で横断測量を行ったところ、盛土の各断面積は下表のようになった。このときの容積を角柱公式、両端面公式、中央断面公式を使って求めよ。
まずは、角柱公式を使って容積を求めていきます。
次に、両端面公式を使って容積を求めていきます。
最後に、中央断面公式を使って容積を求めていきます。
例題2:下図は土量を求めたい地域について5.0 [m] ×3.0 [m] の長方形に分類して各頂点の高さを基準面から測ったものである。このとき、基準面より上にある土量を求めよ。また、盛土量と切土量を等しくして地ならしした場合の基準面からの高さを求めよ。
まずは、長方形公式から土量を求めていきます。
次に、平均高さを求めていきます。
例題3:下図のような5 [m] 間隔に等高線の入った地形図がある。等高線が50 [m] 以上の山の体積を両端面公式と角柱公式を使って求めよ。ただし、各等高線で囲まれた面積は下表の値とする。
まずは、両端面公式を用いて体積を求めていきます。
次に、角柱公式を用いて体積を求めていきます。
まとめとして、体積の計算方法には断面法、点高法、等高線法があります。断面法には、角柱公式、両端面公式、中央断面公式があります。また、点高法には四角形公式と三角形公式があり、等高線法には両端面公式と角柱公式があります。