鉄筋コンクリートの設計法は許容応力度法から始まりました。許容応力度法は想定される荷重下での各部材の断面力を計算し、弾性理論から応力度を算出します。この応力度を設計基準強度から定めた許容応力度と比較することで安全性を照査する設計方法です。設計基準強度は構造計算のときに基準となるコンクリートの圧縮強度のことであり、材齢28日を標準としています。また、許容応力度は構造物が破壊しない安全な応力度のことであり、代表的なものとしては圧縮、引張、せん断、曲げ、付着、支圧などが挙げられます。材料強度、設計基準強度、許容応力度は次式によって表わされます。
このとき、fは材料強度 [N/mm2]、fkは設計基準強度 [N/mm2]、fmは平均材料強度 [N/mm2]、kは係数 [単位なし]、δは変動係数 [単位なし]、σaは許容応力度 [N/mm2]、sは安全率 [単位なし] です。
許容応力度設計法は以下の仮定に基づいて計算を行います。
①コンクリートの引張応力は無視する。
②コンクリートの圧縮応力は直線分布をなし、断面の中立軸からの距離に比例する。
③ヤング係数比 n=Es/Ecを15とする。
許容応力度設計法は計算が容易なのですが、使用限界状態しか考慮していないために疲労による破壊は範囲外となっていました。また、弾性理論を元に考えられているため、破壊に対する安全性は検討していませんでした。そこで、使用限界状態と終局限界状態を考慮した終局強度設計法、使用限界状態、終局限界状態、疲労限界状態を考慮した限界状態設計法へと移行していくようになります。
限界状態設計法は構造物に発生してはいけない3つの限界状態を設定し、その状態に対して個々に検討する設計法です。また、限界状態設計法をベースにして新しく作成された設計法を性能照査型設計法といいます。性能照査型設計法は安全性、使用性、耐久性、復旧性に対して限界状態が設定されます。
まとめとして、鉄筋コンクリートの設計方法には許容応力度設計法、終局強度設計法、限界状態設計法、性能照査型設計法があります。現在は性能照査型設計法が使われています。