垂直抗力とは、面に接した物体が作用反作用の法則によって、面から垂直に受ける力のことです。作用・反作用の法則を説明するときに例とした机がリンゴを押す力も垂直抗力となります。細かい内容は1.4 運動方程式を参照して下さい。
一般的な高校の教科書ではここまでしか説明をしていません。しかし、それだけのイメージで次のステージに進んでいったとき解けない問題が出現してきます。そのようなことがないように、机がリンゴを押し返す力を明確に理解する必要があります。
ミクロな視点で机を見てみると、机はリンゴの重力により極微小ですが変形しています。イメージは下図のような感じです。
このとき、変形した物体は元の形に戻ろうと内側からリンゴを押し上げます。この元に戻ろうとする力を復元力といい、復元力があるからこそリンゴは静止し続けます。この復元力が垂直抗力の源なのです。復元力の他の例としてはバネによる弾性力が挙げられます。弾性力のページもおいおい作製しますので、少し待ってて下さい。
それでは、斜面に働く垂直抗力を求めてみましょう。
このとき、物体の重力は地面に対して垂直に作用します。しかし、垂直抗力は斜面に対して垂直に発生するため、力の分解を行う必要があります。分解の結果、斜面での垂直抗力は次式によって表わされます。
このとき、Nは垂直抗力 [N] です。
図を見てもらえればわかるのですが、垂直抗力だけでなく斜面に対して平行にも力が作用しています。しかし、物体は移動していません。それは摩擦力が働いているからです。実は、垂直抗力と摩擦力には密接な関係があるのですが、詳しい内容は1.6 摩擦力で述べるとします。