試行くさび法はクーロンの土圧理論で解くことができない問題を解くことができます。クーロンの土圧理論は擁壁背面が傾斜していても土圧を求めることができますが、地表面が一様でなければいけません。しかし、試行くさび法は下図のような嵩上げ盛土の土圧でも計算することができます。また、試行くさび法での主働土圧は正弦定理から求められます。
試行くさび法は、すべり角ωの値を変えながら何度も計算を行い、主働土圧合力が最大になるときの値を求めていきます。そのため、エクセルやプログラミングを使って解くのを得意としています。また、試行くさび法による粘着力と地震時慣性力を考慮した主働土圧合力の式もあり、次式で定義されています。
では、試行くさび法を使った問題を1問解いてみましょう。
例題:下図のような嵩上げ盛土における主働土圧合力を求めよ。ただし、内部摩擦角は30°、土の単位体積重量は19 [kN/m3] とする。また、道路土工指針に従い計算するものとする。
まずは、計算に必要な角度を求めていきます。
次に、計算に必要な距離を求めていきます。このとき、すべり角は40°と仮定し計算を進めていきます。
計算に必要な値は全て求まりましたので、土の自重、等分布荷重による載荷、主働土圧合力を算出します。
この計算をすべり角を変更しながら繰り返し行います。下にすべり角が40°から50°における主働土圧合力の計算結果を示しておきます。
その結果、すべり角が48°のときに主働土圧合力が最大になることが確認できました。
まとめとして、試行くさび法はすべり角の値を変更しながら主働土圧合力の最大値を求める方法です。そのため、試行くさび法で解くときはは大抵エクセルやプログラミングまたは専用のソフトが使用されます。