縦断線形は一様な勾配で直線的に上下する区間と勾配が変化する区間に挿入される縦断曲線の区間に分けられます。ここでは、縦断勾配、登坂車線、縦断曲線について述べていきます。
①縦断勾配
縦断線形は排水のために必要な勾配(0.3〜0.5%)を保ちながら平坦にすることが望ましいです。しかしながら、経済的な道路建設のためには地形に対応した勾配をつける必要があり、これを縦断勾配といいます。道路構造令では最大の縦断勾配を下表のように定めています。
縦断勾配が大きくなるほど登坂時や降坂時に速度低下が起きやすくなります。登坂時は重量よる走行抵抗の増加によって速度低下が起き、降坂時は縦断勾配がある程度以上になると運転者の心理特性により速度を抑制します。上表の基準では降坂時の速度低下は登坂時ほど低下が起きないものと考えて設定されています。また、特例値を使用する場合には制限長が設けられています。
②登坂車線
縦断勾配はトラックの速度が1/2まで低下することを仕方がないものとして算出されています。しかし、交通量が多く、トラックの混入率も大きいところでは円滑な交通流を保つことができず、安全性や快適性が損なわれていまいます。また、制限長を侵さないように設計しようとすれば路線を大きく迂回させたり、高い盛土や深い切土が必要となり、経済性が良くありません。そこで、登坂車線を設置すれば、縦断勾配の制限長は考慮しなくてよいことになっています。
道路構造令では、縦断勾配が5%以上または縦断勾配が3%以上で設計速度が100 [km/h] を超える高速道路(高速自動車国道および自動車専用道路)は必要に応じて幅員は3 [m] の登坂車線を設けることにしています。
③縦断曲線
縦断勾配が変化する場所では運動量変化による衝撃緩和と視距の確保をするため、縦断曲線を挿入する必要があります。縦断曲線は一般的に放物線が用いられますが、縦断曲線半径は放物線を円曲線で近似してから次式で求めていきます。
このとき、Lvは縦断曲線長、Rは縦断曲線半径 [m]、⊿は縦断勾配の代数差の絶対値 [%] です。
また、道路構造令では縦断曲線を凸型と凹型に分け、縦断曲線半径と縦断曲線長を規定しています。このとき、縦断曲線半径と縦断曲線長は下表の値より大きくないといけません。
縦断曲線半径を求めるためには縦断曲線長を求める必要があります。縦断曲線長は衝撃緩和に必要な長さ、視距確保に必要な長さの2つから求めることができます。衝撃緩和に必要な縦断曲線長は、一般的に次の経験式が用いられています。
視距確保に必要な縦断曲線長は凸型縦断曲線と凹型縦断曲線で式が異なってきます。凸型縦断曲線の縦断曲線長は次式によって求めることができます。
このとき、Dは制動停止視距 [m]、heは運転手の目の高さ [m]、h0は障害物の高さ [m] です。
同様に、凹型縦断曲線の縦断曲線長は次式によって求めることができます。
これら凸型・凹型の式はLv≧Dの方が必ず大きくなるため、Lv≧Dの式で縦断曲線長と縦断曲線半径を計算していきます。その計算結果が道路構造令の規定となっています。このように縦断曲線長は最小値を使用しているため、縦断曲線半径の望ましい値は規定値の1.5〜2.0倍ぐらいの値を用いるのが良いとされています。
まとめとして、道路の縦断線形を設計するときは縦断勾配、登坂車線、縦断曲線半径、縦断曲線長などの規則を守る必要があります。