道路の横断面を構成する要素としては車道、中央帯、路肩、歩道および自転車道、植樹帯、副道が挙げられます。下図は2車線と4車線の場合の一例を示しています。
①車道
車道は主に自動車の通行に用いられる道路の一部分であり、車線と停車帯から構成されています。車線の幅員はすれ違いや追い越しをするための余裕が必要であり、設計速度の高い道路ほど幅員は広くなります。道路構造令において車線幅員は下表のように規定されており、第3種第5種と第4種第4級の道路については車線幅員を4 [m]、やむを得ない場合は3 [m] と定めています。表に書かない理由としては、1車線道路(第3種第5種と第4種第4級)はできる限り建設するべきではないからです。
停車帯は沿道へのアクセスのために自動車を停車させる場所であり、第1種〜第3種までの道路は路肩がその役割を担っています。しかし、第4種では停車需要を停車帯で処理することになっており、普通自動車を考慮するときの幅員は2.5 [m]、考慮しないときの幅員は1.5 [m] まで縮小することができます。
②中央帯
中央帯は道路の上り線と下り線を分離し、余裕幅を設けることで安全性と快適性を保つ施設であり、分離帯と側帯から構成されます。分離帯には分離用防護柵か縁石が設けられ、側帯には一定幅を設けることにより側方余裕幅を確保しています。
中央帯は車線数が4以上である第1種、第2種、第3種第1級の道路には必ず設置しなければならず、車線数が4以上のその他の道路についても必要と判断される場合は設置しなければいけません。また、2車線道路では急カーブなどの安全性に著しい問題がある区間に設置するのが望ましいとしています。中央帯の幅員は下表のように規定されています。
第1種の道路においては中央帯開口部を設けることが義務付けられています。これは阪神・淡路大震災のときにセミトレーラー連結車が転回することができず、交通渋滞を招いたことが起因しています。そのため、第1種の2車線道路では非常駐車帯を上り線と下り線に真向かいに500 [m] 間隔で設け、セミトレーラー連結車が転回できるようにしています。従って、中央帯開口部は非常駐車帯の位置に合わせて設置しなければいけません。
一方、第1種の4車線道路は非常駐車帯を設ける必要がないため、中央帯開口部を500 [m] 間隔で設置することを標準としています。また、中央帯開口部の幅は一般的に、分離帯幅員が1.0〜2.0 [m] のときは40 [m]、3.0 [m] のときは50 [m] としています。
ちなみに、第1種の2車線道路のトンネルで非常駐車帯を設けるときは上り線と下り線で250 [m] ずつ間隔をずらしても良いことになっています。理由としては真向かいに配置するとトンネルを4車線分掘削しなければならず、建設費用が跳ね上がるからです。このようなときは非常駐車帯に横穴を設け、セミトレーラーでも転回できるようにしています。
③路肩
路肩は自動車の交通性、自転車や歩行者との安全性を高めるための側方余裕幅であり、路肩の最低幅員は下表のように規定されています。ただし、下表は保護路肩を除いた幅員となっています。
⑤歩道および自転車道
歩行者、自転車、自動車が同一の路面を使用する混合交通では快適性と安全性を同時に失ってしまう恐れがあります。そこで、円滑な交通を図るために歩道や自転車道が設けられます。歩道は歩行者数が100 [人/日] 以上かつ自動車の交通量が500 [台/日] 以上のときに設置することを基準としています。しかし、歩行者が少ない場合でも、自動車の交通量が多い場所や通学路など必要と考えられる場合は設けないといけません。
自転車の交通量が多い場所では車道の両側に自転車道を設けます。自転車道の幅員は通常2.0 [m] 以上としていますが、設置条件によっては1.5 [m]、橋梁やトンネルでは縮小することができます。また、自動車の交通量が多い場所で自転車道では安全性が確保できないときは自転車道と歩道を合体させた自転車歩行者道を設けます。
⑥植樹帯
植樹帯は歩行者と自転車の分離、樹木の枝葉(天蓋効果)による寒暖や乾湿の変化の緩和、逸脱した自動車の衝撃緩和、防風効果、大気の浄化、騒音の軽減などを目的に設けられ、第4種の第1級と第2級では設置が義務づけられています。また、その他の道路にも状況に応じて設置する必要があります。この植樹帯、路肩、歩道、自転車道、側道、副道などを合わせてを環境施設帯と呼んでおり、環境保全を目的に幅員10〜20 [m] ほど設ける場合もあります。
植樹帯の幅員は1.5 [m] を標準としており、だいたい1.0 [m] 〜2.0 [m] の間で設計されます。また、樹種を選定する際は植栽地域の諸条件(土壌、大気、気象など)に適合し、維持管理に費用がかからないものや手入れが容易なものを選ぶ必要があります。
⑦副道
副道は4車線以上の第3種または第4種の道路において、沿道と車道の高低差が大きい場合や沿道への出入りができない場合に設けられます。副道の幅員は4.o [m] を標準としており、下図のようなイメージとなります。
まとめとして、道路の横断面を構成する要素としては車道、中央帯、路肩、停車帯、歩道および自転車道、植樹帯、副道があります。