公式を暗記することはとても大切です。しかし、丸暗記しただけで解ける問題は残念ながらごくわずかです。また、暗記力が驚異的にすぐれていなければ、短期間で忘れてしまいます。
できるだけ公式の成り立ちを意識し、1つでも多くの公式を自力で導けることが理想です。公式を導けるということは、考え方の流れがつかめている・計算力が身についているという証拠です。また、試験中に公式をド忘れしたとしても、その場で導けるのであれば慌てる必要はありません。
先生から「問題をたくさん解いていれば、解けるようになるから」と言われ、真面目な生徒は「よし家に帰ったら問題を解いてみよう!」と思うでしょう。しかし、いざ解こうとしたら「あれ、ほとんど解けない」なんて経験はないですか。〝たくさん解けば解けるようになる〟という間違った神話を実践してきた結果が今の数学力ですから、そろそろ気づいてもいいのでは?
問題が解けるだけの知識が身についてない状態で問題を解くこと自体が間違っています。優先すべきことは〝例題〟などの説明を理解することです。そうすれば、3問ぐらいの演習で解けるようになります。基礎を身につける段階では根性論的に問題数を増やす必要はありません。基礎が身についたら、知識や解法の幅を広げるために多くの問題を解きましょう。
定期考査で得点を取るために、解けない問題の模範解答を丸暗記している生徒も多いはずです。定期考査は教科書や問題集の指定された範囲から〝改題〟として出題されることが多いため、〝答案の再現能力〟が問われます。そのため、解答の丸暗記でも一定の効果はあるでしょう。しかし、「定期考査では取れるのに、実力テストや模試になると得点が取れないんですよ。」という生徒が非常に多くいます。それは当然のことで、理由は簡単です。こうしたテストで要求されているのは〝答案の再現能力〟ではなく〝知識を組み合わせて考える能力〟だからです。
数学の勉強にかなり多くの時間を使っている生徒が多いと思いますが、〝覚える→テスト→忘れる〟の繰り返しになっているだけです。いつでも使える数学力を身につけるには、教科書などの例題をきちんと理解する勉強に切り替えることが最低限必要です。
定期考査が近づいてくると、卒塾生が数学の指導をして欲しいと依頼してきます。時間を調整して依頼を受けるんですが、「どこから教えたらいいの?」と聞くと、「範囲の最初から」なんてことを言い出します。あと数日で試験があるというのに、間に合うはずないですよね。日々の勉強をおろそかにして、テストの時だけ良い結果を得ようなんて甘すぎます。
まずやるべきことは教科書の例題を解けるようにすること。もちろん丸暗記ではなく、軽く説明できるレベルを要求しています。中途半端にやったところで問題は解けませんから、この取り組みに限りなく時間を掛けるべきなんです。そうすることで問題演習の数を減らすことができるので、いつもより短い時間でも知識は身についています。こうした正しい勉強法を継続することで数学力を手に入れることができるんです。
また、高3生の受験指導で大学入試問題を解いていると、教科書レベルの知識を組み合わせた問題がたくさんあります。こうしたことから【基礎固めの重要性】を生徒達に伝え続けています。