ソ連時代の児童映画は「子供向け」という理由で国家検閲が緩く、結果として他のジャンルでは描けないような実験的・寓話的・不穏な表現が可能だった。
本作の日本映画『放課後の転校生』はそのような異形の映像文化への明確なオマージュである。つまり「毒々しい」「不気味」「不条理」を孕んだ児童映画を令和の時代に目指した。
ソ連時代の児童映画は「子供向け」という理由で国家検閲が緩く、結果として他のジャンルでは描けないような実験的・寓話的・不穏な表現が可能だった。
本作の日本映画『放課後の転校生』はそのような異形の映像文化への明確なオマージュである。つまり「毒々しい」「不気味」「不条理」を孕んだ児童映画を令和の時代に目指した。
放課後の転校生 予告編
・【ストーリー】
主人公、小学六年生の心羽の教室に、ある日、ひとりの少女が転校してくる。無表情で、奇妙な雰囲気をまとった彼女は、教室の空気を一瞬で凍らせた。誰も彼女に近づこうとせず、まるで“見てはいけないもの”のように扱われる中、心羽だけが彼女に興味を抱き、言葉を交わすようになる。
ある日、ふたりは町外れにある廃墟へ探検に出かける。しかし、そこで転校生が足を滑らせ、転落死してしまう。恐怖と混乱の中、心羽は転校生を見捨ててその場から逃げ出してしまう。翌朝、教室に戻った心羽を待っていたのは、異様な静けさだった。転校生の話をすると、誰もが怪訝な顔をし、「そんな子、最初からいなかった」と口を揃える。まるで彼女の存在そのものが、心羽の妄想だったかのように。混乱と罪悪感に苛まれながら、心羽は再び廃墟へと向かう。
そこに、彼女は“本当に”いたのか――それとも、最初から“いなかった”のか。
・【解説】
『ZONE/存在しなかった命』『アジア犬肉紀行』『動物愛護法』など、社会的テーマに鋭く切り込む衝撃的なドキュメンタリー作品を手がけてきた北田直俊監督。一方で、25歳から10年の歳月をかけ、たったひとりで執念の末に完成させた35ミリ長編映画『イヌ』や、シュールな世界観が際立つ『佇むモンスター』など、独自の作家性を貫いた劇映画も制作してきた。
本作『放課後の転校生』では、白黒とカラーを大胆に混在させた映像表現を用い、前半は児童映画風の穏やかな雰囲気から始まり、物語が進むにつれてホラーテイストが色濃くなっていくという、まさに“北田ワールド”が展開される。
主役を務めるのは、撮影当時小学6年生だった愛凜(AIRI)。前作『佇むモンスター』では、実の母親に殺害されるという難役に挑み、本作でも主演として再び北田作品に登場する。謎の転校生役には、子役タレントとして活躍してきた山下かんなが、不気味な少女を怪演。今後の活躍が期待される注目の若手2人が物語の中心を彩る。
共演には、動物福祉活動家として知られるNeko☆chan、落語家の立川平林、映画監督としても活動するひがしゆうき、ベテラン俳優の剛州、大久保千代太夫、そして北田監督とは30年来の親交を持つ吉本芸人・シベリア文太らが名を連ね、作品に厚みを加えている。
本作はもともと、東急大井町線・戸越公園駅周辺の再開発によって変わりゆく風景を記録する映像制作プロジェクトとして始動した。
プロジェクト会長として本作品の制作であり、戸越公園駅前商店街の会長でもある原誠諸が旧友・北田監督に声をかけたことをきっかけに、ホラーテイストを強めたシュールで不思議な劇映画として生まれ変わった。それが本作誕生の背景である。
・出演 愛凜(AIRI) 山下かんな 剛州 Neko☆chan ひがしゆうき 横瀬智也 富永有治 工藤修司 黒野陽太
水瀬稀夕 コロ(柴犬) 広瀬善樹 かわのDA 三村弘幸 山本秀樹 立川平林 大久保千代太夫 シベリア文太
・スタッフ 制作:原 誠緒 撮影:白石みち 脚本:アーサー・ナンス、北田直俊 助監督:工藤修司、牧野夏紀、谷山葉子
特殊メイク:山田結香 ヘアメイク:和田育美 Special Thanks:杉本末男(chara) ポスターデザイン:稲田志野
・協力 戸越公園駅前南口商店街/吉本興業株式会社/御菓子司 越路/理容室 ロックカット/台湾料理 華源楼/あいどる戦士ミルキュワ
株式会社ミルキーホワイトプロダクション/株式会社ミスズコーヒー商会/三栄の家具
・製作 合同会社adg-ethics/2025年度長編映画/日本映画/白黒・カラー/75分/北田直俊監督作品