2020.2.22 原宿クロコダイル 〜哲ロック69バースデイライブ
三文役者 :花之木哲(vo) / 野澤文明(b) / ちぇり~(g) / さとっちょ(dr) / 青木丈征(g) ゲスト : マロ(per) 飛び入り : 石井正夫(b)
2月25日に69歳の誕生日を迎える花之木哲のバースデイライヴは 通り雨に見舞われながら開演。 インペリテリの「Over the Rainbow」が流れる中 三文役者の面々がステージに姿を現した。
「三文役者」「三文役者part2」とドカンと行くというよりも様子を窺うような立ち上がり。 徐々にまとまりを見せていくが、昨年加入した野澤文明のベースがバンドに変化をもたらしていることに気づかされる。 前任の石井正夫は固めのフレーズを繰り返すタイプのベースだったのに対し野澤はフレーズが多彩でアクションがデカい。 つまりはゴツゴツとぶつかりながら落としどころを見出すようなバンド内の関係性が柔軟なものに変わってきているのではないかと感じたわけだ。
花之木哲のヴォーカルは飛ばしたり勢い任せなところが減り余力を残しつつ丁寧に歌っているようにも聴こえる。 とくにミディアムの曲での説得力を増していた。 歌詞も見ず立ちっぱなしでセンターを務めるのも年齢を考えれば驚異的だ。
ちぇり~と青木丈征のツインギターは相変わらず ストラトとレスポールの音色の違いを示しつつ有機的に絡み合い最早完成の域に達しようとしている。 ブルースな「Anytime Again」でもそれが顕著。
さとっちょのドラムも以前に比べてつんのめるような感じが減り前へ行かずに演奏を引っ張るというある種バンドのドラマーとしては理想的な立ち位置に見えた。
2部はパーカッションでマロが全面参加 さらに客席に居た石井正夫が呼び込まれて2曲ベースを弾くなど 盛り上がったまま本編最後の「回転木馬」に突入。
終わってみれば2014年の復活劇以来 ライヴを重ねてきた集大成のような演奏の連続だったわけだが一旦まとまった感が漂っていたことも事実。 2年前に花之木哲の口から「もっと削ぎ落としたいんだけどね」と言われたその答えを見せつけられたのかとも思うがならばこの先にどこへ向かおうとしているのか、楽しみがまた増えた夜だった。
by森次郎