三文役者 / 魅せてやるぜ! 最後の悪あがき – 長月の篇
前夜から降り続いていた雨も上がり、およそ10年振りの赤坂グラフィティへ。三文役者のワンマン。
1曲目「DreamCrash」が始まり、前回クロコダイルで観たときよりも更に引き締まった演奏に驚く。適度にタメの効いたタイトなリズム隊、轟音の中でもくっきりとしたレスポールと甘く艷やかなストラトキャスターのツインギター、そしてメロディに重心を置き始めたヴォーカル。5人編成になった頃からのバンドの充実具合に一層磨きがかかったよう。
1部は70年代ハードロックの香りが強い曲が多いように感じたが、「三文役者part2」のエンディングなど「ホテル・カリフォルニア」のようなツイン・リード、まああちらはトリプル・ギターだが、こんなことを演って様になるバンド、今の日本にどれだけ存在しているのだろうか?
また、レゲエやブルースを咀嚼したナンバーもあり、2部はよりポップな80年代のテイストも加えていったのだから、このバンドの歴史と幅広い音楽性に感嘆せざるを得ない。
そして本編最後は「回転木馬」、ステージを降りないまま敢行されたアンコールは「三文役者」。どちらもPANTA作曲のメロディアスなハードロック・ナンバーだが、ポップな面を打ち出した「回転木馬」、激しい思いをぶつけるような「三文役者」と、PANTAの両サイドがそのままバンド・三文役者の振り幅になっているところがとても興味深い。
2014年12月の復活劇、その助走期間を含めると約4年、リハーサルとライヴを繰り返してきた三文役者はバンドとしての強靭な地力を手に入れたと言えるだろう。決して今どきのサウンドではないのに懐古趣味に陥っていないという事実が物語るのは、そういうことだ。