さくらんぼの会の幼稚園インタビュー、記念すべき一回目は世田谷区三軒茶屋2丁目にある三軒茶屋幼稚園です!場所はキャロットタワーのすぐ近く。三茶幼やリズムの愛称がある幼稚園です。園のカラーや魅力、母親目線で気になることなど、たっぷり聞き出せたらな〜と思います!
園情報の詳細は当サイトの下記のページや三軒茶屋幼稚園のHPをご覧ください。
ーーそれでは三軒茶屋幼稚園副園長の福川先生にお話を伺っていきます!どうぞよろしくお願いします。
よろしくお願いします。
ーーではさっそく。入園直後の過ごし方を教えてください!
お歌を歌ったりお椅子に座って先生のお話を聞いたりする朝の会を短い時間で簡単に行います。そのあとは室内玩具で自由遊びをして過ごし、短い時間で簡単にお帰りの会をして帰ります。お帰りの会でもお歌を歌ったりお椅子に座って先生のお話を聞いたりします。また、紙芝居もあります。
ーー入園早々にこんなにコンテンツがあってすごいですね!
5月中旬くらいから通常保育になるので、それまでの約1カ月間がこの内容になっています。
ーー4月中に午後までの保育になる園も多い印象ですが、三軒茶屋幼稚園では午前保育の慣らし期間をたっぷり設けているんですね。
そうですね。11時半帰りなので、1カ月間は2時間半ほどしか園で過ごしません。
ーー座席は入園直後から決まってるんですか?
決まっていません。背の低い子が前で背の大きい子が後ろでーーとかそれくらいですかね。
事前に家庭調査票を出してもらっているのでアレルギーがあるとかおむつが取れてないとか人見知りでよく泣くとか、おうちの方が心配している点を踏まえて配慮が必要なお子さんには助手の先生がすぐ対応できるような席にしています。そして様子を見ながら担任のほうで調整し、席が決まるのはゴールデンウィーク前後ですね。
ーーなるほど。身長やお子さんの様子を踏まえてごく自然に誘導されてるような感じで席が決まっていくんですね。
ーー先ほどチラッとおむつの話が出ましたが、三軒茶屋幼稚園はおむつが外れてなくても入園には問題ありませんか?
全く問題はないですね。入園時1/3以上はおむつの子がいます。実は前任の園長が無理におむつを外すことをすごく心配していて、無理してトイトレしてもプラスにもならないですし、おうちの方が焦ると余計におむつが取れなくなることもあります。なので、説明会や見学会の段階で「おむつは無理に取ることがないように」とお話はしてます。
ーーでは入園後に幼稚園でトイレの練習があるんですか?
はい。日常の保育の中でおむつをしながら30分〜40分に1回はトイレに行かせます。一学期の間は1つのカテゴリーが終わると「1回トイレ行ってから水筒のお茶を飲みましょう」という感じで、活動の間にトイレタイムがポンポンと入って習慣をつけていきます。
ーーそれはすごく安心する方が多いと思います。やはり気にしてるお母さんたちも多いので。
ーーちなみに入園直後は行き渋りをする子が必ずいると思いますが、どのくらいを境に慣れてくるものですか?
だいたい4月下旬……2週間経つか経たないかくらいが全体的な目安ですね。ただ個人差があるので、もう少し時間のかかる子もいますし初日から全然嫌がらない子もいます。でも結局ゴールデンウィークでリセットされてるので(笑)
ーーでは先生方からしてもゴールデンウィーク明けが勝負ですか?
そうですね。そのことも念頭に入れてるので5月の中下旬くらいには大方慣れてきます。
ーー三軒茶屋幼稚園では家庭からの連絡事項は直接先生へ伝えてますか?スマホで対応されている園もありますが。
当園では紙でもアプリでも連絡ノートはいままでもやったことないですし、これからもやる考えはありません。
第1の理由が連絡ノートを読んだり書いたりするのに時間を使うくらいなら子どもと触れ合っているほうがいいと考えていることです。
2点目の理由はおうちの方と少しでもコミュニケーションを取ることが大事だと思っていることです。それで紙媒体やスマホでのやり取りは行ってないですね。
ーー送迎の時間におうちの方から聞く形ですか?
はい。朝おうちの方が連れていらっしゃって、申し送りがあれば担任にお話をしていただく形です。例えば「昨日ちょっと遅くまで起きてて寝れてないので眠たくもなるかもしれません」とかでもいいですし、「いつも朝に排便があるのですが今朝はしてないので、今日は午前中に催すかもしれません」とか、なんでも申し送りを受けます。それで担任がそれらのことに留意しながら保育に当たります。
ーー先生と保護者のコミュニケーションが日常的にあるという感じですね!
ーー音楽リズムでの情操教育とはどういうことですか?
歌やリズム遊びによって表現力や感性を伸ばし、楽器演奏によって集中力と向上心を育んでいくことです。
当園ではミドルネームで「リズム」と付くように、日々お歌の時間があって昔からの童謡とか唱歌を歌うようにしています。昔から歌い継がれてる曲は日本人に染み渡るものがあるので、子供のうちから聞いたり歌ったりすることが大事です。
また、音楽に触れ合って音楽自体を身につけてほしいという狙いももちろんですが、大元には皆で作り上げる楽しさや大変さをわかってほしいという思いと、「本当は遊びたいけど皆でがんばって練習しよう」という気持ちの切り替えを身につけてほしいという思いがあり、その手段として音楽を用いているところが大きいです。
当園では年少の3学期から鍵盤ハーモニカ、「メロディオン」と言ってるんですけど、少しずつ楽器に携わっていき、年中になると発表会に向けて全員で練習をするんです。そこで皆でひとつのものを作り上げる楽しさや大変さを経験します。
また「本当は遊びたいんだけど、いまからこの曲の練習をがんばろうね」と気持ちの切り替えができるように音楽を通して経験を積んでいきます。
ーーちなみに音楽リズム教育は、開園当初からずっと続いているものですか?
開園当初からと聞いてます。創業者の園長が小学校の先生で、小学校に上がる前の幼児教育も大事だと幼稚園を立ち上げたんですが、その園長が踊りなどの演舞や合奏に長けてたそうです。そこで幼稚園の保育のなかで、ひとつの特色として踊りや音楽リズムを主軸にしたようです。
ーーもともと音楽が好きな子もいればそうでない子もいると思いますが、ついていけない子はいませんか?
拒否する子はいないですね。年少のときに担任が前年度の発表会の様子を見せたりして年中になると必ずやるものだと伝えていきます。かっこいい先輩を見てるので、あんな風に歌いたいという子がほとんどですね。
ーーでは入園時に音楽の知識がなくても入ってから馴染めるし、音楽が得意ではなくてもきちんとやれるということでしょうか?
そうですね。年度末の発表会までは練習期間が長くて、年中は5月から翌年3月の発表に向けて練習します。メロディオンが苦手で弾けてない子は担任が所々個別指導もしています。
でも常々職員で共有しているのが「上手に越したことはないけど上手な発表を狙っているんじゃない。皆でやる時にやるんだよとか、気がそぞろな子にいまやることがあるんだよって気持ちの切り替えをすることと、皆でひとつものを作り上げるという経験を大事にしたい。一生懸命やって間違えたらそれでもいいんだよ」と。
上手く弾けなくても全部弾けなくても、自分が弾けるところに飛んでそこからついていって弾ければいいわけだからと時々職員に話をしています。
ーー先生方がそういう意識でいてくれるとすごい助かりますね。
ーー預かり保育について、当日の流れを教えてください。
利用日の登園時に預かり保育のチケットをチケットボックスに入れるだけで申込は完了です。お子様は保育終了後、引き続き園に残って園服から私服に着替え、お迎えが来るまで自由遊びをして過ごします。
ーー申し込みは利用日当日ということですか?定員になるということは?
当園では人数制限等は一切設けていません。当日の朝に来たときに申し出てもらえればそれで大丈夫です。
ーーどれほどの方が預かり保育を利用していますか?
いまは全学年の3割ほどの方が利用しているでしょうか。年代によって割合のバランスは違いますが大体3割かなと。
ーー預かり保育を利用する条件はありますか?
ありません。当園では預け理由を確認しておりませんが、見ていると就労している方は半分弱だと思います。定期的な用事の方が約4割で、残りの方は私用、または別の理由だと思われます。
ーー預かり保育でお迎えが多い時間帯はありますか?
大体17時前後が多いです。
ーー預かり保育中には自由遊びですか?
はい。お絵描きをしたい子、おもちゃ遊びをしたい子等、完全に自由遊びです。気温が高いとなかなか外遊びはできませんが、基本は外遊びと室内遊びができます。
ーー自由でいいですね!私服に着替えて自由遊びですか?
そうです。園服を汚すと洗濯が大変なので基本は私服持参で、自分で着替えてもらい私服で遊んで過ごしています。
ーーちなみにおやつは出ますか?
15時〜15時半ごろに出しています。預かり保育料の中におやつ代も入っています。おせんべいやあられ、飴、クッキーなど甘いものとしょっぱいものを分けて出します。
ーーアレルギーがある子の場合は、預かり保育のときのおやつは持参になりますか?
当園ではアレルギーの内容も把握しています。例えば、ピーナッツアレルギーだと分かっていれば出しません。大方、アレルギーを2つ以上持つ子どもはおうちの方がおやつを持たせてくれています。
ーー持参もOKなんですか?
OKです。
ーー安心ですね!通常保育の日の預かり保育料はいくらですか?
通常保育の日は1,000円で、午前保育の日は1,200円です。月極だと12,000円です。就労している方はほぼ月極ですね。
ーー支払いはどのタイミングですか?
当園では事前に購入してもらうチケット制です。登園時に預かり保育用のチケットで支払ってもらっています。
ーー定員なし、条件なし、予約なし、たっぷり遊ばせてもらえるうえにお値段は良心的で、おうちの人は大助かりですね!
ーーそれでは最後の質問です。小学校受験に関するアドバイスは受けられますか?
お申し出があればアドバイスはいくらでもさせて頂きます。また、受験に向けての進学指導を希望者には行っております。
ーーたとえば「希望の学校は向いていないのではないか」、「この子にはこの小学校が合うのではないか」というような受験校のアドバイスをすることはありますか?
それはありません。進学指導という希望者だけの学習教室を、任意で保育後に行っています。どこを受験するか考えていると事前に用紙を提出してもらっていますが、ここは向いていないといった意見は基本的にしていません。
ーー塾の代わりではなく、幼稚園の延長でサポートしている感じですか?
基本的には家庭学習が第一で、幼稚園では家庭学習の補助で進路指導をさせてもらっている形です。進学指導だけ行ってもご縁をいただく確率は高くならないし、家庭学習だけでも難しいと思うので、家庭を主体として幼稚園で進学指導を行います。悩みや分からないことがあれば都度アドバイスをしていますが、本当にここを受験するのかと意見を申すことはありません。
確かに、お子さんのカラーと希望している学校のカラーが違うことは少なからずありました。しかし、ご縁があって入学することも珍しくないので、固定概念で見るものではないと常々感じています。
ーー先生方のスタンスとしては皆ウエルカムで指導しますという感じですか?
進学指導は、どうしても小学校受験をさせたいと希望するおうちの方をサポートするというスタンスでやっています。
言い方は悪いですが、受験するかどうか分からない、どこか受かればいいという考えの方はご遠慮くださいと、年中の10月に行う進路指導の説明会で話をします。説明会ではほかにも話していて、例えば、私立とは、国立とは、公立とはというところから話をします。
進学指導は毎週1時間ほどで宿題も出ます。おうちの方のモチベーションが低いと、必然的に子どももそうなってしまいます。これまで見てきていると、そういった状態で進学指導を進めると間違いなく勉強嫌いになります。
ーーやらされている感じになってしまうからでしょうか?
そうです。進学指導をしている私からすれば非常に矛盾していますが、幼稚園のうちから受験勉強をするのは特異なことだと思います。机に向かってリンゴの差異を割り出すよりも、外で友達と遊んだりけんかをしたり、または虫を捕まえたりすることで、いろんな体験や経験を積むことが本来の姿だと思います。
ーーでは進路指導を始められたきっかけはなんだったのでしょうか?
当園の進学指導は、前任の園長が平成2年から始めています。園児の保護者から受験を考えているという相談を受けていくうちに、幼稚園で進学指導をやりましょうというところからスタートしました。
保護者の意見からスタートしたので、進学指導は絶対に合格させますというものではなく、家庭学習があってそれをサポートさせてもらうスタンスで臨んでいます。
勉強よりも伸び伸びと遊んだほうがいいと私は考えていますが、おうちの方が子どもの将来を考えて受験させたいと言われるのであれば、一緒にサポートさせてもらいますし、やるからには合格を目指してご家庭と共に頑張っていく思いです。
ーー幼稚園での普段の姿を知っている人が一緒に伴走してくれることはありがたいです。親としては安心感というか、やはり普段の様子を見ているからこそ言えることがあると思うので、とてもいいと感じました。ちなみに先生はなぜ学習指導が上手いのですか?幼稚園の先生と学習指導の先生は、別の職種なのかと思っていました。
基本的には同じだと思います。保育も教育も一度やって見せて、理解させてからやってもらいます。失敗しても繰り返し教えることで身に付いていきます。根本は同じです。
私は小学校の先生もやっていたので、どちらかというと教えることは得手かもしれません。ただ、進学指導は勉強ではありません。要領を教えることで傾向が分かるので、傾向を対策としています。進学指導は受験の内容に慣れていくものです。
ーーなるほど〜。今日のインタビューで三軒茶屋幼稚園のことがよく分かりました!
お受験幼稚園と思われてしまうかもしれませんね(笑)
ーー確かにお受験幼稚園のイメージがありました。
何となく昔からそのようなイメージがあると思います。
ーー先生的には、そのようなつもりはないのですか?
全然そのようなことはないのですね。ただ、当園で大事にしていることが厳しいと思われている節があります。
例えば、どのような場面でもきちんとあいさつをさせる、きちんとやるときはやるということは幼稚園生らしくないと捉える方も中にはいらっしゃるようです。併せて、小学校受験の進学指導をやっていることも、きちんとした子どもを育てている幼稚園と思われる節があります。
いろいろな場面で必ずあいさつをすることは、大事なことだと私は思っています。例えば公的な場でもワイワイガヤガヤとしているのは楽しそうだと感じるかもしれませんが、公的な場を利用するからには他の人に迷惑を掛けてはいけないということを教えることは大事だと考えています。
確かに幼稚園児が静かに電車を待っているのは異様に見えるかもしれませんが、社会的なルールやマナーを幼稚園のうちから教えることは大事なことです。
ーーどちらかというと、勉強よりも社会のルールやマナーを身に付けることが大切だと考えているということでしょうか?
そうです。やはり「おはようございます」、「ありがとうございます」、「よろしくお願いします」のあいさつは、人とのコミュニケーションの上ではとても大事なことで、ないがしろにするべきではないと思っています。
ーーそのようなマナーを幼稚園で身に付けていると、その後が楽ですね。私も幼い頃から習慣化したほうがいいと思っています!
受験の話に少し戻りますが、当園で大切にしていることを小学校でも重要視しているようで、受験時の行動観察のなかで子どものあいさつや集団行動の様子、ルールやマナーなど道徳感を考査している様子が見受けられます。
当たり前のマナーを幼稚園で身に付けて、次の小学校のステップに上がれるといいですよね。
ーー(大きく頷く) あっという間に時間になってしまいました。福川副園長先生、本日はどうもありがとうございました!
幼稚園ガイドに掲載している三軒茶屋幼稚園の内容はこちらから確認できます!