サクラは、数多くの花木の中でもひときわ日本人に愛されており、文化的にも重要な樹木として人々の生活に根付いています。そのような中、育種の対象としては多くの注目を集めてきたものの、サクラの研究としてはまだ多くの研究が必要とされる状況にあります。近年ゲノム解読がなされるようになり、DNA情報を用いて膨大で正確な遺伝情報に基づいたサクラの研究を行うことが可能になってきました。本研究会では、ゲノム時代の技術や情報を基に、野生種の進化、栽培品種の樹立、その他多くの研究に取り組んだ事例について最新情報を紹介してもらいます。演者としては、サクラの歴史、保存、分類、進化、ゲノム解析、ゲノム修飾、発生、生殖、開花時期の予想、品種の開発など多岐にわたる研究分野の方々に参加していただきます。これらの発表に対し、様々な研究分野及びその関連分野でサクラの研究に関わる参加者との質疑応答や議論を通じて、今後のサクラ研究の新たな展開に向けた道筋を拓くと共に新たなネットワークの形成につなげることを目的としています。
ポスター発表
初日の口頭発表後にポスター発表を行います。参加予定の方、学生の方でポスター発表ご希望の方はご連絡ください。ポスターはA0程度で作成してください。
守秘義務
この研究会では、未発表データについてもご紹介頂き深く議論したいと思っております。そのため、参加者は守秘義務を負うことにご承諾いただきます。ご了解のほどよろしくお願いします。また、すべての発表の撮影、録音、また講演で得られた情報を演者の許可無くSNS等により発信することは禁止させていただきます。データを含まない研究会の様子などの発信はその限りではありません。活発なご議論になることを楽しみにしています。
旅費支援(旅費支援は締め切りました)
人数はそれほど多くありませんが、参加予定の方でポスター発表をすることを条件に旅費支援も可能です。旅費支援は予算がなくなり次第締め切らせていただきます。旅費支援をする方は、所内のゲストハウスに宿泊していただきます。ポスター発表申し込みの際に旅費支援のご希望をお知らせください。
宿泊
宿泊は市内のビジネスホテルを各自でご予約ください。また、遺伝研内のゲストハウスをご利用いただくことも可能です。ゲストハウスのシングルルームは1泊2000円になります。
情報交換会
ポスター発表後に、情報交換会(有料)を同じ会場で行います。活発な情報交換のためにぜひご参加ください
参加申し込み
参加申し込みはこちらのサイトからお願いします。締め切りは4月2日とします。
プログラム
4月15日(火)一日目
13:00 開会の挨拶(小出 剛)
13:00 研究会の趣旨について(鶴田 燃海)
座長:白澤 健太
13:10 小出 剛(遺伝研 マウス開発研究室)
「サクラ100ゲノムプロジェクトの概要」
13:40 藤原 一道(遺伝研 マウス開発研究室)
「サクラ100ゲノムプロジェクトの成果と今後の展望」
14:10 川本 祥子(遺伝研 系統情報研究室)
「Sakura Genome Databaseの作成と研究への活用」
14:40 休憩
座長:藤原 一道
14:55 白澤 健太(かずさDNA研究所 先端研究開発部 植物ゲノム・遺伝学研究室)
「ゲノム解析で迫る染井吉野の謎」
15:25 伊藤 善隆(立正大)
「染井村の植木職人伊藤伊兵衛・重兵衛と染井吉野・桜草のことなど―」
15:55 江角 智也(島根大)
「130品種の遺伝資源 幼樹開花性を示すワカキノサクラの解析」
16:25 休憩
座長:川本 祥子
16:40 永光 輝義(森林総研 樹木分子遺伝研究領域)
「オオヤマザクラ南限とカスミザクラ北限の交雑帯では遺伝的混合と表現型浸透が異なる」
17:10 鶴田 燃海(森林総合研究所 樹木分子生物研究室)
「サクラ属における雑種崩壊に関与する遺伝子の探索とメカニズムの解明」
17:40 板井 章浩(京都府立大学)
「河津桜と熱海桜の早咲き性の分子遺伝学的研究」
18:10 休憩
18:20 ~19:20 ポスターセッション
19:30 ~ 情報交換会
4月16日(水)二日目
座長:佐藤 豊
9:15 中村 郁郎(千葉大学)
「ソメイヨシノの起源について」
9:45 川口 晃平(東京科学大学 生命理工学院)
「生育環境が異なる染井吉野のDNAメチル化状態の比較」
10:15 桑門 温子(九州大学)
「ソメイヨシノのフェノロジー」
10:45 休憩
座長:鶴田 燃海
11:00 三瓶 保之(日本樹木医会 福島県支部)
「郡山市開成山公園内の‘染井吉野’に対する樹齢の検証」
11:30 鈴木 親彦(群馬県立女子大学 文学部)オンライン発表
「Edomiによる江戸時代の各種名所の挿絵と地図情報の照合」
12:00 総括(白澤 健太)
12:05 閉会の挨拶(小出 剛)
ポスター発表
P-1 杉森 未来(京都大学 農学研究科)ウメ‘南高’枝変わり系統の早期開花メカニズムに関する研究
P-2 時澤 睦朋(電力中央研究所)倒木リスク早期診断手法の基盤研究 ー サクラの活用可能性を探る
P-3 前田 唯眞(北海道大学大学院 農学院)樹勢の異なるソメイヨシノの葉のトランスクリプトーム
P-4 藤原 一道(遺伝研 マウス開発研究室)オオシマザクラ(Cerasus speciosa)の完全ゲノム
P-5 CAI YONGQING(サイ エイセイ)(筑波大学 生命地球科学研究群)Characterization of functional ingredients and VOCs in 12 cultivars of Cerasus speciosa evaluated by multivariate analysis
P-6 佐竹 暁子(九州大学)熱帯ー温帯環境間比較トランスクリプトームが明らかにする樹木の季節感
P-7 奈良 久美(奈良女子大学)気孔応答に関わるソメイヨシノのアクアポリン遺伝子の探索