教授・医局長

ご挨拶


教授就任のご挨拶

多胡 雅毅 教授

 本日、佐賀大学医学部附属病院総合診療部の第四代 教授を拝命致しました。福井次矢教授、小泉俊三教授、山下秀一教授の後を継ぎ、歴史ある教室の運営を担うことに、強い喜びと責任を感じております。

私は1999年に入学し、以来、佐賀大学一筋でキャリアを歩んで参りました。2007年に小泉教授の教室に入局し、市中病院と大学病院で総合診療医として研鑽を積みました。その後は山下教授のもとで学術活動や教室運営に携わり、大学において総合診療を実践する意義を改めて認識することができました。

 

ここでは所信表明として、まず私が掲げる当教室の運営方針を示し、詳細についてご説明致します。

 

診療では、病歴と身体診察による診断推論を重視し、断らない姿勢で総合診療を実践します。大学病院では総合外来、時間外の救急walk-in患者と、重症の入院患者の診療を行い、佐賀県の高度急性期医療の維持に貢献致します。また当院が市中病院に設置している3つの地域総合診療センターを適切に運営し、総合診療医の価値を高めたいと思っています。また、佐賀県内の医療圏ごとの問題に適切に対処すべく、新たな地域総合診療センターの設置と総合診療医の派遣を検討し、佐賀県の地域医療体制の充実化に貢献して参ります。

研究では、症例報告の執筆を精力的に行い、自らの診療と患者の臨床経過を科学的に検証し、剖検によって原因を究明する姿勢を大切にしたいと考えています。臨床研究にも取り組み、英語論文の数を増やし、学会主導研究と科研費による研究でさらに成果を上げ、外部資金を継続的に獲得できる仕組みづくりを進めて参ります。また研究人員の確保のために、大学院生も多数受け入れたいと思います。

教育については、臨床・診断推論スキル、全人的医療の実践、ジェネラルマインドセットの修得をキーワードとし、同門の小田教授、江村特任教授と協力して、佐賀大学医学部の臨床教育改革を断行致します。学生や研修医が自ら学び、考え、意思決定ができるレベルに到達できるように、地域総合診療センターを活用したシームレスな卒前・卒後の総合診療教育システムを構築します。

当教室は我が国の国立大学で最も歴史のある総合診療部であり、これまでに述べたプランを実現するための人材、システムはすでに揃っています。これまで教室を支えていただいた諸先輩方に感謝しつつ、堅実かつ実直に教室を運営して参ります。多数のアカデミックホスピタリストを育成し、教室、佐賀大学、佐賀県、総合診療領域の発展に貢献したいと考えております。

まだまだ未熟な部分もございますが、関係各位の皆様には引き続きご指導賜れますと幸甚です。どうぞよろしくお願い申し上げます。 



あらゆる困難に対して柔軟に対応する総合診療医の育成を目指して

藤原 元嗣 講師・医局長 

 佐賀大学医学部附属病院総合診療部のホームページをご覧いただきありがとうございます。2020年1月に医局長を拝命し3年が経過しましたが、前回の挨拶文にも記載した通り、このわずかな期間で社会はすっかり様変わりしました。COVID-19が世界中で流行し、医療関係だけでなく行政、教育、流通などあらゆるインフラが影響を受けました。紆余曲折の結果、2023年5月からCOVID-19は5類相当の扱いとなることを受け、社会的にも色々なリスクを容認しながら世の中が進んでいっている真っ只中にいることを実感します。この3年間を通して、佐賀大学総合診療部では大学附属病院においても、また関連の派遣病院においても、様々な取り組みを行ってきました。国立大学医学部附属病院として初めて設置されて以降、40年近くに渡って諸先輩方が築き上げてきた教室の底力が、この未曽有の事態において遺憾なく発揮されていることに、一医局員として誇らしく感じております。 

 日本における総合診療は新たな専門診療領域として認定されるなど、徐々に認知度を増していますが、これは世界に類を見ない高齢多死社会への突入が大きな要因のひとつであると考えています。そして上述のとおり、総合診療医はwithコロナ時代においても柔軟に多様性を発揮し、社会へ貢献することが可能です。今後益々の活躍が期待されますが、特に佐賀大学総合診療部では、先駆けて総合診療を実践し、基礎となる土台を築いてきました。また、この10年で診療経験や研究結果を世界に発信する術を新たに身に着けてきています。今後より一層の研鑽を積み、日本の総合診療をリードする立場であることを目標に医局運営を行って参ります。志を同じくして医療への貢献を目指す方は勿論、具体的な目標が定まっていない医学生・研修医の皆さんにも、ぜひ気軽に興味を持っていただき、教室を訪れていただければと思います。 

202431日更新