2024年3月1日に佐賀大学医学部附属病院総合診療部の第四代 教授を拝命致しました。福井次矢教授、小泉俊三教授、山下秀一教授の後を継ぎ、歴史ある教室の運営を担うことに、強い喜びと責任を感じております。
私は1999年に入学し、以来、佐賀大学一筋でキャリアを歩んで参りました。2007年に小泉教授の教室に入局し、市中病院と大学病院で総合診療医として研鑽を積みました。その後は山下教授のもとで学術活動や教室運営に携わり、大学において総合診療を実践する意義を改めて認識することができました。
ここでは所信表明として、まず私が掲げる当教室の運営方針を示し、詳細についてご説明致します。
詳細な病歴聴取と身体診察に基づく診断推論を実践し、適切な診断と治療を提供できる総合診療医を育成する
ジェネラルマインドセットを有し、どのような医学的な問題にも対応できる、柔軟性のある断らない総合診療医を育成する
大学病院及び地域総合診療センターでのトレーニングによって、1~3次医療のどのような環境にも適応し、地域包括ケアの要となることができる総合診療医を育成する
総合診療または総合内科の専門的スキル(総合診療専門医、総合内科専門医、家庭医療専門医、病院総合診療専門医、Fellow of American College of Physicians)を有する総合診療医を育成する
学位を取得し、臨床研究・症例報告を中心とした国際的なアカデミック活動を実践し、総合診療領域の学術的発展に寄与できる総合診療医を育成する
大学と地域総合診療センターで卒前・卒後臨床教育を実践し、臨床医学教育のエビデンスを発信できる総合診療医を育成する
診療では、病歴と身体診察による診断推論を重視し、断らない姿勢で総合診療を実践します。大学病院では総合外来、時間外の救急walk-in患者と、重症の入院患者の診療を行い、佐賀県の高度急性期医療の維持に貢献致します。また当院が市中病院に設置している3つの地域総合診療センターを適切に運営し、総合診療医の価値を高めたいと思っています。また、佐賀県内の医療圏ごとの問題に適切に対処すべく、新たな地域総合診療センターの設置と総合診療医の派遣を検討し、佐賀県の地域医療体制の充実化に貢献して参ります。
研究では、症例報告の執筆を精力的に行い、自らの診療と患者の臨床経過を科学的に検証し、剖検によって原因を究明する姿勢を大切にしたいと考えています。臨床研究にも取り組み、英語論文の数を増やし、学会主導研究と科研費による研究でさらに成果を上げ、外部資金を継続的に獲得できる仕組みづくりを進めて参ります。また研究人員の確保のために、大学院生も多数受け入れたいと思います。
教育については、臨床・診断推論スキル、全人的医療の実践、ジェネラルマインドセットの修得をキーワードとし、同門の小田教授、江村特任教授と協力して、佐賀大学医学部の臨床教育改革を断行致します。学生や研修医が自ら学び、考え、意思決定ができるレベルに到達できるように、地域総合診療センターを活用したシームレスな卒前・卒後の総合診療教育システムを構築します。
当教室は我が国の国立大学で最も歴史のある総合診療部であり、これまでに述べたプランを実現するための人材、システムはすでに揃っています。これまで教室を支えていただいた諸先輩方に感謝しつつ、堅実かつ実直に教室を運営して参ります。多数のアカデミックホスピタリストを育成し、教室、佐賀大学、佐賀県、総合診療領域の発展に貢献したいと考えております。
まだまだ未熟な部分もございますが、関係各位の皆様には引き続きご指導賜れますと幸甚です。どうぞよろしくお願い申し上げます。
この度、2024年10月より佐賀大学医学部附属病院総合診療部の准教授に就任するとともに、新たに医局長の職務を拝命いたしました。これまでの皆様の温かいご支援とご指導を賜りましたことを深く感謝申し上げます。歴史ある佐賀大学医学部附属病院総合診療部の准教授という役職は、大変な名誉であるとともに、同時に大きな重責を伴うものと感じております。この職責を全うできるのか不安もありますが、これまでの経験と皆様にいただいたご指導を十分に発揮して、職務に励んでいく所存です。
COVID-19の流行を経て医療界も例外なく様変わりしましたが、高齢多死・人口減少の社会はこれからも継続していきます。19番目の基本領域として、総合診療医に多様なニーズが求められる時代が続いていくことに変わりはありません。これまでも診療科として心がけてきたことではありますが、common diseasesから希少疾患、診断困難症例、重症症例まで、幅広い対応力を養成・維持してまいります。地域医療で即戦力として頼っていただける医師を今後も輩出していくことを目標といたします。また、山下秀一名誉教授の着任以降、医局全体で学術活動にも邁進し徐々にその成果を伸ばして参りました。これまでに引き続き、皆の経験や培った知識を症例報告や臨床研究を通してしっかりと国内外へ発信するとともに、アカデミックホスピタリストを養成して参ります。
さらに、医学生や若手医師の育成にも力を注いで参ります。次世代の医療を担う人材の育成は、我々総合診療医の重要な使命の一つです。教育の場では、単に知識や技術を伝えるだけでなく、医療に対する熱意や倫理観、患者さんへの真摯な姿勢を共に学び、共有していくことが求められます。私自身も常に学び続ける姿勢を忘れず、後輩たちにとって良きロールモデルとなれるよう努めてまいります。
2024年3月より、新たに多胡雅毅教授が就任され、佐賀大学医学部附属病院総合診療部は新しい時代の幕開けとなりました。多胡教授のもと、皆で力を合わせて佐賀大学医学部附属病院総合診療部が更なる飛躍を遂げるよう、皆様のご期待に添えるよう、全力で医局運営に取り組む所存です。関係の皆様にはさらなる温かいご支援とご指導を賜りますようお願い申し上げます。
2024年10月1日更新