2025年度 イオン液体とDLCの組み合わせによる超低摩擦機構の解明補助事業 に係る報告
機械システムにおいては、摺動部の摩擦によりエネルギーロスが生じていることから、本事業においては、摩擦を極限まで削減する要素技術の開拓・社会実装を目指した。潤滑剤をイオン液体、摩擦材料をDLC(ダイヤモンドライクカーボン)とそれぞれすることで、摩擦係数が0.01を下回るような超低摩擦現象の発現を目指した。その結果、イオン液体の種類や摩擦環境などの条件次第で、超低摩擦現象の発現が確認された。今後は、社会実装に向けた取り組みを行った。
〇第1回報告概要(2025年6月14日)
イオン液体の潤滑特性および応用に向けた取り組みを報告した。参加者との議論により、これらの構造を基にイオン液体以外の応用可能性の議論を行った。また、摩擦制御においては、トライボコロージョンの実験方法を参考にする方針が立てられた。また、評価項目として、耐久性≠摩耗の追加を行った。
〇第2回報告概要(2025年7月19日)
第1回とは異なる参加者との議論を行った。イオン液体が分解して反応膜を形成しているとは考えられず、吸着膜を形成している可能性が示唆され、分光法によるその場観察の協力を取り付けた。また、実際の応用の一つとして、真空環境での評価も追加した。
〇第3回報告概要(2025年8月23日)
本研究の最初の目標である超低摩擦において、複数のイオン液体が発現した。今後は持続性および摩擦材料の耐久性の評価を行う。
〇第4回報告概要(2025年10月10日)
トライボロジー会議秋函館において、指導学生の郷田 琴音氏が報告を行った。比較材料としての鉄鋼材料を真空環境で適用した例であり、今後は、DLCの評価を行う。質問として、イオン液体が吸着しているが、一部イオン液体の分解が確認されている、その物質が摩擦表面と反応することが考えられるか、また、分解と寿命の関係を質問された。表面分析の結果からは、反応物の存在は確認できず、また、イオン液体の分解はごく微量のため、寿命に影響はないと返答した。
〇第5回報告概要(2025年10月22日)
超低摩擦現象を発現・維持する外部電場システムの構築について、報告した。古くから潤滑剤を吸着させる研究は行われているが、摩擦係数がわずかに下がる程度であった。そのため、超低摩擦現象が発現すれば非常に魅力的であることをコメント頂いた。また、放電・電食の影響や粘度変化について考慮すべきとご意見を頂いた。