講義

◆米田 剛 先生

純粋数学者としての私の乱流研究は、Goto-Saito-Kawahara(2017)のナヴィエ・ストークス乱流の数値解析を
出発点とし、Bourgain-Li(2015)やKiselev-Sverak(2014)の非圧縮オイラー方程式研究のブレイクスルーを解析
手法の原点としています。

流体若手夏の学校では、先ず、テキスト(数理流体力学への招待, SGCライブラリ,サイエンス社)の第5章を
じっくり読むことから始めます。

微分積分と線形代数のみをベースとして議論が展開されていますので、興味と根気さえあれば理解が進められると
思います。
そこから、歪み速度場を生成する大スケール渦とそこから伸長される小スケール渦の非線形相互作用を(純粋数学
サイドから)学びます。
その後「エネルギー散逸率の非粘性極限の非消散」を実現するナヴィエ・ストークス方程式の滑らかな解の列の
構成法を詳しく説明します。

時間に余裕があれば、コルモゴロフの-5/3乗則についての私なりの洞察、およびミレニアム懸賞問題
(テキスト:数理流体力学への招待の第2章)を紹介したいと思います。