Credit: NASA/ESA
開催趣旨
輻射輸送とは、光やニュートリノが物質中を伝播する際に吸収・放出・散乱などの相互作用を受けながら、その強度やスペクトルがどのように変化するかを記述する理論である。特に、中性子星合体、超新星爆発、ガンマ線バースト、X線連星など、強重力・高密度・高温環境における極限天体現象では、流体場・磁場・重力場の相互作用に加えて、光やニュートリノが、エネルギー・運動量のやり取りを通じてダイナミクスに影響を及ぼす。したがって、これらの天体現象を根底から解き明かすためには、正しく輻射輸送を解くことが重要である。しかし、輻射輸送は微積分問題である上に微視的物理が絡むことから、その取り扱いはまだまだ発展途上である。実際、モーメント法や格子ボルツマン法をはじめとする多様な近似・手法が併存しているものの、各手法の妥当性、適用範囲、計算コスト、相互比較の体系化が十分に進んでいるとは言い難い。
本研究会は、輻射輸送問題に関わる数値シミュレーションを中心に、分野横断的な議論の場を提供することを目的とする。特に、数値計算スキームの共有、微視的物理(状態方程式・弱い相互作用・不透明度)の取り扱い、シミュレーションコードの高速化(GPUやAIなど)を重点的に取り上げる。分野ごとに培われてきた知見を共有するとともに、共通の課題設定と評価指標を整備することで、手法間の健全な比較と改良を促進したい。これにより、輸送問題を含む天体物理シミュレーションの信頼性と予測力の向上を図る。さらに、最新の数値シミュレーションコードによって得られた研究成果を共有し、若手研究者や学生も交えた自由闊達な討論を通じて、次世代の数値天体物理の発展に資する研究コミュニティ形成の契機とする。
招待講演者
赤穂龍一郎(早稲田大学)
朝比奈雄太(筑波大学)
井上壮大(東京大学)
川口恭平(マックスプランク研究所)
財前真理(東京大学)
冨永望(国立天文台)
吉川耕司(筑波大学)
主な日程
7月10日:講演申し込み締め切り
8月26日:研究会1日目(13:00開始)
8月27日:懇親会(一般3000-4000円,学生2000-3000円程度を予定)
8月28日:研究会3日目
アクセス
会場:東京大学駒場キャンパス16号館119, 129
大学へのアクセス:https://www.u-tokyo.ac.jp/ja/about/campus-guide/map02_02.html
本研究会は、
2026年度国立天文台研究集会(NAOJ-RCC-2601-0208)
若手研究(25K17439)「3次元一般相対論的磁気流体力学計算で探る中性子星磁場の多様性の起源」(代表者 井上壮大)
若手研究(26K17158)「量子多体系として解明する重力崩壊型超新星爆発」(代表者 赤穂龍一郎)
若手研究(25K17383)「高エネルギー天体現象において卓越するニュートリノの量子運動論的性質」(代表者 財前真理)
によってサポートされています。
世話人:井上壮大(東京大学)、赤穂龍一郎(早稲田大学)、財前真理(東京大学)、都丸亮太(呉工業高等専門学校)、高橋幹弥(東京工業高等専門学校)、