第5回研修会にて頂いた質問について、講師の友田先生よりご回答を頂きました。
Q1.他分野へのローテーションの時期と範囲、専門分野への割り振りの時期など教えてほしいです。
ご質問ありがとうございます。ご質問を拝見して、真剣に人材育成に取り組まれている姿勢を感じました。とても素晴らしい事だと思います。さて、ご質問をされた方の、職場の規模と検査技師の人員、業務量と技師の配置状況が分かりませんので一般的な回答になる事をご容赦ください。
ご質問にお答えする前に、そもそも、ローテーションの目的ですが、一般的には以下の目的が考えられます。
【ローテーション(人事異動)の目的例】
①夜間・休日の検査を、支障なく行う事ができるようになるため。
②産休・育休、家族の介護、病気療養等の技師が居て、この技師が休みを取得しても、他の部署からも業務の応援が出来る技師を育成するため。
③技師に幅広い検査の視野を持ってもらうため。
④技師に様々な分野の検査を体験させることで、自分自身が深く学びたいと思う分野を見つけてもらうため。
⑤技師に様々な主任(上司)の元での業務経験をしてもらうため。
⑥災害や感染症等が発生して、在籍技師の多数が出勤出来ない状況になっても、1人の技師が2~3分野の業務を遂行し、検査室全体の業務が継続して行えるようにするため。(BCP対策)
⑦将来の技師長・副技師長を育成するため。(主任の異動)
⑧主任に他部門の検査の業務量・配置人員・業務手順・効率性等を経験させ、業務改善を進めるため。(主任の異動)
質問者の検査室では、上記の目的のどれに当てはまるのかを考えると、ローテーションの時期と範囲が自ずと決まってくるのではないかと思われます。また、専門分野への割り振り時期についても、検査室の人員配置計画や人材育成計画等を立てて長期的な視点で考えると見えてくるのではないでしょうか。ご健闘をお祈りいたします。
Q2.若い技師が望む指導者や上司への理想像も知りたいです
ご質問ありがとうございます。若い人たちの思いを汲み取ろうと言う真摯な姿勢に頭が下がります。
これらについては、職場で個人面談を行って直接お聞きになるのが良いと思います。また、講演でご説明したようなディスカッション方式の研修会を職場で企画して、若い技師に理想の指導者・上司についてよく考えてもらい、意見を吸い上げるのも一つの方法かと思います。ご健闘をお祈りいたします。
Q3.適正の見極め方についてのポイント(検体検査と生理検査。USでは心臓と腹部/表在領域)
ご質問ありがとうございます。個々の技師の才能をどうやって伸ばして発揮させようかと言う姿勢は素晴らしいと思います。さて、一般的には、個人面談を行って将来本人がどんな技師になりたいのか、なぜそのようになりたいのかをよくお聞きになった上で、いくつかの部署を異動させ、いろいろな業務を経験させて、本人の興味・働き方、特に業務への取り組む姿勢を見守る必要があるように思います。各技師の適性は、本人が気づいていない事もありますので、技師長・副技師長・主任など複数の人の目で見て、技師の育成と言う視点から方向性を考えられるとよいかと思います。ご健闘をお祈りいたします。
Q4.接遇指導について
一般的と個人的の境界、業務レベルと個人レベルとしての指導、これは自分だけが思っていることかどうか悩む
ご質問ありがとうございます。ご質問をされた方は、職場で同僚や後輩技師が、患者や他の病院スタッフと接しているのを見かけた時に、「よくない」と感じた部分があり、しかも、この感覚は自分だけが感じているレベルなのか、自信が持てないと言う状況と想像いたします。質問者のご自分と周囲の人をとても客観的に見ておられるご様子は素晴らしいと感じました。
もしそのような状況でしたら、「よくない」と感じるのは、あなただけでしょうか?、主任や技師長から見ても同じように感じるレベルのものでしょうか?まず、その辺りからご確認されて、意見が一致するかどうかから始められてはいかがでしょうか?
もし、「よくない」という意見が一致して、このまま業務をすすめると良からぬ事態が想定されるようでしたら、どのような対策を取るのが良いのかを皆さんで話し合って解決されるのが良いかと思います。ご健闘をお祈りいたします。
Q5.私は係長ですが、検査部の未来を自分達で考え作っていく仕組みを作りたいと思い、1年前に30代の中堅技師を中心に会を立ち上げました。本人達なりに考えてくれてはいますが、メールだけの一方向の伝達だったり、若手を巻き込むでもなく、もう少しこうしては、と思う面は多々あります。失敗の経験も必要だと思い口出しはしていませんが、相談があるまで放置で良いのか、先生ならどのように声掛けやサポートをされるか、ざっくりした内容で大変恐縮ですがアドバイスを頂けたらありがたいです。
「検査部の未来を自分たちで作っていく仕組みを作る」と言う
お考えの元、実践されているとの事で、素晴らしい取り組みだと思います。
ご質問は、せっかく若手を中心とした会を立ち上げたのに、
なかなか思うようには機能していないと言う事ですね。
何かを計画し実行したけれど、上手くいかないと言うのは、
そこには上手くいかない原因・理由があるはずです。
この根本原因を取り除かないといけないのだと思います。
まずは、上手くいかない原因を見つけ出し、解決策を練られると
良いと思います。
このお答えでは、満足がいかないと思いますので、
ちょっと踏み込んだお話しです。
まず、私は質問者の病院組織や人員構成を全く知りませんので、
勝手に想像して答えますので、全く的外れになるかもしれない事を
ご理解ください。
「若手が検査部の未来を考え作っていく仕組みを作る」と言うのは、
かなり大掛かりで、綿密な準備が必要になると思います。
「自由に未来を語る」のなら若者だけでも良いのですが
「仕組みを作る」のでしたら、若手だけではまず無理だと思います。
仕組みを作って機能させるためには、各部門の係長たち全員の賛同と協力が
必要になってきませんか。
係長たちが一丸となって真剣に考えている姿を若者に見せる事は
大事だと思います。
それから、発案者たちは、若手技師たちに、
なぜこのような仕組みを作ろうとしているのかを
何回かに分けて、ゆっくり時間をかけて語って理解させ、
そして納得させる必要があるように思います。
そして、次に若手が自発的にやりたいと思わせるように
誘導していかなくてはいけないような気がします。
まず、どういう手順で、何から始めて若手に本気モードの
スイッチを入れさせるかを係長たちが話し合って
しっかり練られると良いかと思います。