Alexis de Tocqueville and President Trump or President Jackson

なぜいまトクヴィルが面白いか? それはトランプのような大統領が登場したからである。トクヴィルがアメリカ合衆国を訪問して、ニュー・オーリンズまで足を伸ばし、最後にはホワイトハウスのジャクソン大統領を表敬訪問している。ジャクソンは、若い二人のフランス人貴族にほとんど何の関心も示さなかったが、トクヴィルは、一度会っただけで、その粗野な性格を見抜き、それが軍人上がりの統治者に特有のものであると思った。なにしろ数次にわたるインディアン討伐で名をあげ、第二次英米戦争で、英雄的な戦いをニュー・オーリンズ籠城戦でやってのけたのである。

トランプの統治スタイルはジャクソン大統領に似ている。議会を無視し、つねに大衆に訴える。考え方が単純で、白か黒か二者択一で政策を決定するが、その政策はすべて大統領の好みと偏愛で決まる。ジャクソンが銀行を嫌い、合衆国連邦銀行と一戦交え、それを閉鎖に追い込んだのも、もとはと言えば彼自身が銀行の意味をわかっていなくて、経済恐慌の責任をすべて銀行のせいにしたからである。