日本大学大学院生産工学研究科横断プログラム

複雑系とパターン形成

研究ユニットの内容

 様々な要素がお互い複雑に絡み合い一つなっている集まりを複雑系といいます。シャーレの中の化学反応やバクテリアの集団, また各種細胞から構成される我々の身体はもちろん, 我々自身が構成する学校などの社会的な集団, さらに我々が住む生態系, 地球もすべて複雑系の例です。これら複雑系を特徴付けるとき, 構成する個々の性質を調べることと共に, 集団自体の性質を調べることは欠かすことができません。具体的には「パターン (形)」と「統計性」を見える化した上でその特徴や時間的変化を調べることが必要だと考えます。本研究ユニット研究では複雑系として, ヒトの機能・生物や結晶の集まり・地形に関連するテーマを取り上げ, パターン形成と統計の立場から分野横断的な議論を行っていく予定です。


ユニット参加希望および質問など問い合わせはこちらのフォームよりご連絡ください.

ユニットメンバー

学生

研究テーマ: リモートセンシングによる土砂災害のリスク評価に関する研究

教員

小林 奈央樹 (マネジメント工学専攻, ユニット代表者) 

kobayashi.naoki75@nihon-u.ac.jp

個人ページ

「食の安心・安全」工学の創出

 ヒトの摂食過程は第0近似として, ヒトの口腔内における食品の破壊が起こり, その後舌と口腔内運動により塊として食品が咽頭へ輸送され, そこから食道へ落下する, 一連のプロセスと考えることができます (Food Oral Processing)。 食の安全性を考える際に重要なのが嚥下時の気道への誤嚥であり, これを予防するにはどのような知見が必要か現在様々な視点から研究が行われています。ユニットテーマ「食の安心・安全工学の創出」ではパターンや統計の立場から食の安心・安全に関する系統的な課題解決法を模索していきます。

野々村 真規子 (数理情報工学専攻)

nonomura.makiko@nihon-u.ac.jp

生物・無生物集団のパターンとその動力学

 多くの複雑系は熱平衡から離れた非平衡状態にあり, 系の内部と外部でエネルギーや物質の流入出が行われることである種の構造が成り立っています。したがって非平衡度を変化させればそれに伴って系の構造が変化することになります。本テーマ「生物・化学系のパターンとその動力学」ではバクテリア等の生物集団および結晶を取り上げ, より基礎的な立場から複雑系パターンについて議論を行います。

朝香 智仁 (土木工学専攻)

asaka.tomohito@nihon-u.ac.jp

リモートセンシングと地形形成

 自然界には一見すると規則性がみられないパターンが数多く存在します。山地地形や海岸線など自然界に見られる地形パターンもその代表例ですが, フラクタルという立場でパターンを眺めてみるとそのような複雑なパターンにも規則性が存在することが分かります。2011年に東日本を襲った地震に伴う津波により多大な被害が生じましたが, 必ずしも空間的一様に被害が生じたわけではないようにみえます。 防災の立場からリスク評価の一手法としてフラクタルによる地形の定量的評価を行うことは可能でしょうか。 本テーマ「環境変化とフラクタル」はこれらの可能性について地形の時系列データを用いた基礎的解析により検討を行っていきたいと考えています。